[C言語]char*への再代入時のセグフォ[Segmentation fault]

Question

概要

ふつうのLinuxプログラミング第2版の練習問題で理解できないところがあり、
ご教示いただきたいです。

第10章
問題1: コマンドライン引数で指定されたディレクトリ以下を再帰的にトラバースして、
見つかったファイルのパスをすべて表示するプログラムを書きなさい。
シンボリックリンクをたどってはいけません。
公式回答ソース：https://github.com/aamine/stdlinux2-source/blob/master/traverse.c

不明点、試したこと

上記コードの106行目で、構造体の(char*)型メンバ変数ptrに対して、下記の処理を実施しています。
*strrchr(pathbuf->ptr, '/') = '\0';

手元で動かしたところ、上記のソースは正常終了いたしますが、
通常だと(char*)型変数への再代入は Segmentation fault になると理解しています。
試しに、該当する箇所のみ抜き出した以下のプログラムを実行したところ、
再代入の箇所で Segmentation fault となりました。
この事象について、どのように解釈したらよろしいでしょうか。

#include <stdio.h>
#include <stdlib.h>
#include <string.h>

#define INITLEN 1024

struct strbuf
{
    char *ptr;
    size_t len;
};

int main(int argc, char *argv[])
{
    struct strbuf *pathbuf;

    pathbuf = (struct strbuf *)malloc(sizeof(struct strbuf));
    pathbuf->ptr = malloc(INITLEN);
    pathbuf->len = INITLEN;

    pathbuf->ptr = "abc";
    printf("%s\n", pathbuf->ptr);               // "abc"
    printf("%s\n", strrchr(pathbuf->ptr, 'b')); // "bc"
    // pathbuf->ptr[0] = 'A'; // Segmentation fault
    // *strrchr(pathbuf->ptr, 'b') = '\0'; // Segmentation fault

    return 0;
}

実行環境

OS: Ubuntu 22.04.1 LTS
gcc: Ver11

Answer 1

(char*)型変数への再代入は Segmentation fault になると理解

その理解は間違っています。ポインタが指している先が書き込み禁止であれば(OSレベルの)エラーになるということであって、char*の一般的性質ではありません。

    pathbuf->ptr = malloc(INITLEN);
    <略>
    pathbuf->ptr = "abc";

これは、プログラムとしては、即破滅的な状況にはなりませんが「間違っている」と断じていいレベルの操作です(そもそもfree()がないし)。「メモリリーク」という言葉について調べてみることをお勧めします。あるいは、「ポインタって何?」というところから復習が必要かもしれません。
pathbuf->ptr = malloc(INITLEN);は、malloc()によって大きさINITLENのユーザーが好きに使って良い領域を(何らかの正当な方法で、誰かから)「借り」てその領域のアドレスをpathbuf->ptrに記憶します。
続いておこなうpathbuf->ptr = "abc"は、メモリのどこかに"abc"というデータを持った領域を作成し(あるいは作成しておき)、その領域のアドレスをpathbuf->ptrに上書きします(それまでに入っていたデータは失われます)。
さて借りた領域のアドレスはわからなくなってしまいました。借りたものは返さなければいけないのですが...小さなサイズだからしらばっくれるとか、OSがある場合は破産(プログラムが終了)したら勝手に回収される「はずだから」放置、というのはよいお作法ではありません。

お作法で言えば、malloc()ではメモリ領域を借りられたことを確認する、つまりmalloc()の返り値がNULLでない)ことを「必ず」確認するのもお作法です。

余談に近い話になりますが、Segmentation faultになるのはC/C++の仕事ではなく、OSの仕事です。Cのレベルでは、定数領域に書き込む行為は「未定義」(結果の保証はなにもしない)というだけ。現実としてはシステムによって「何事もなかったかのように書き換えられる」「書き込み操作は行われるがデータは変化しない」「(今回のように)OS等がちょっかいをかけてくる」などの結果が考えられますが、それはC言語の範囲で決まるものではありません。

Comments

[thkana]

参照元のプログラムもfree()してないのか...だめぢゃん。

[haru86]

詳しく教えてくださりありがとうございます。
わかった気になって「(char*)型変数への再代入は Segmentation fault になる」などど
意味のわからないことを書いてました。。

> 続いておこなうpathbuf->ptr = "abc"は、メモリのどこかに"abc"というデータを持った領域を作成し
> (あるいは作成しておき)、その領域のアドレスをpathbuf->ptrに上書きします
> (それまでに入っていたデータは失われます)。

これでわかった気がします。
試しに以下のプログラムを実行してみましたが、文字列リテラルのアドレスで上書きした場合は、
free()もできず、文字列リテラルの記憶領域はリードオンリーだということが理解できました。
質問する前は、mallocで確保するメモリ領域も文字列リテラルが格納されている領域も
同じもんだと思っていましたが、そうではないのですね。
```C
int main(int argc, char *argv[])
{
char *s;
char *temp = (char *)malloc(20);
if (!temp)
{
perror(NULL);
return 1;
}
s = temp;
strcpy(s, "abc");
// s = "def"; // free(): invalid pointer
free(s);

return 0;
}
```

[haru86]

あれ、コメントだとmarkdownが効かないのか。

Answer 2

文字列リテラルは書き込み禁止です。
mallocした領域にstrcpyしましょう。

    strcpy(pathbuf->ptr, "abc");

Comments

[haru86]

代入演算子だと文字列リテラルと同じアドレスを指してしまうが、
strcpyなら中身が同じでも別のアドレスだから書き込み可能ということですね。
理解できました、ありがとうございます。