ポインタのforループ

Question

配列の初期化などでポインタのforループを書くことがあります。アセンブリ言語に明るい人間ならばこのように書きたがると思いますが、C/C++言語においてこの動作は未定義となりますでしょうか。主に配列の要素以外の部分をポインタが指すときの比較演算が保証されているか、という質問内容になります。よろしくお願いします。

#include <stdio.h>

int main() {
    int a[5];
    int *pe = a + 5;
    for (int *p = a; p < pe; ++p) *p = 0;
    for (int *p = pe - 1; p >= a; --p) printf("%d\n", *p);
    return 0;
}

Answer 1

p が a[0] の一つ前を指すようになり、その値を a と比較しているので
未定義動作です。
ポインタが配列の要素を指すとき、その値は配列の要素のアドレスと、
最後の要素の次のアドレスだけが許されています。

例えば、セグメントレジスタとオフセットでデータをアクセスする CPU で
ポインタがオフセット値だけを持つ場合、配列 a がオフセット 0 から
割り付けられていたとすれば、a[0] のアドレスが 0x0000 でその前が
0xffff となり、p <= a が成立しなくなります。

通常の処理系では問題ありませんが、次のように書くと規格上の問題も解決します。

    for (int *p = pe; p > a; ) printf("%d\n", *--p);

Comments

[maisumakun]

そっちもはみ出していたか…

[anndonut]

kazuma-sさん、ご回答ありがとうございます。規格上矛盾のないコード例も非常に参考になりました。ちなみに

> セグメントレジスタとオフセットでデータをアクセスする CPU でポインタがオフセット値だけを持つ場合

は正直わかりませんでしたw

[dodox86]

>> セグメントレジスタとオフセットでデータをアクセスする CPU でポインタがオフセット値だけを持つ場合
>
> は正直わかりませんでしたw

むしろ昔のx86/16ビットWindows用CコンパイラのFARポインタ、NEARポインタがそれに相当するかもですね。今のC言語仕様が適用されてはいなかったかもしれないと言うのと、ポインタの操作において内部で特殊な操作がされていたので、ポインタ演算では状況は違ったかもですが。

Answer 2

もちろん逆参照はできませんが、「配列の末尾の次」を指すポインタは、存在・演算が可能なことは保証されています。

式Pが配列オブジェクトの要素を指しており，式Qが同じ配列オブジェクトの最後の要素を指している場合，ポインタ式Q+1（引用者注：この演算が可能なことも別途保証されています）は，Pと比較してより大きいとする。

Comments

[anndonut]

maisumakunさん、ご回答ありがとうございます。

Answer 3

kazuma-sさんの回答の通りであるため、Cに関しての補足の参考文献のみあげておきます。

Pointer arithmetic | Arithmetic operators - cppreference.com
ポインタ算術 | 算術演算子 - cppreference.com

元のポインタと結果のポインタがどちらも同じ配列の要素または同じ配列の最後の要素の次を指す場合にのみ動作は定義されます。 p が配列の最初の要素を指すとき p-1 は未定義動作でありプラットフォームによっては失敗するかもしれないことに注意してください。

6.5.6 Additive operators | n1570(C11最終ドラフト) P.93

8 (前略)
If both the pointer operand and the result point to elements of the same array object, or one past the last element of the array object, the evaluation shall not produce an overflow; otherwise, the behavior is undefined.
(後略)

Comments

[anndonut]

raccyさん、参考文献のご提示ありがとうございます、非常に助かります。

Answer 4

ポインタの比較自体は大丈夫ですね
アクセスを伴うとヤバいでしょうけど

＃環境によりポインタのオーバーフローは考慮の必要はありそうですが。