負のNaNは、どのような意味があるのか

Question

別件で回答しているときに、IEEE 754の浮動小数点数で、NaNにも正負があることを知りました。C言語では、copysignやsignbitといった関数で、NaNについても符号の確認・設定が行えるようになっています。

quiet NaNとsignalling NaNを区別するビットは別にありますし、「数ではない」ものに正負を考えるのも無理があると思うのですが、正のNaNと負のNaNに有意な違いはありますでしょうか？「特定の環境では正負のNaNで動作が違う」というようなものでも構いません。

それとも、単に違いが目立つだけで、符号ビットもNaNのペイロードの1つに過ぎない、ということでしょうか？

Comments

[yumetodo]

多分StackOverflowに英語で投げるべき案件だった気もする・・・。

Answer 1

IEEE754 の定義として、交換形式に常に符号ビットが存在するために、仕様上 +NaN と -NaN が存在するということかと思います。

例えば 0 × ±∞ は NaN を生成しますが、かけたのが正負どちらかだったかを伝播する目的で符号ビットが使われるのであって、NaN 自体に正負があるわけではなく、分析用の痕跡に過ぎないと言うことでしょう。

Answer 2

最後に残った有効な情報「符号」を残すためという考え方もできるかもしれません。

2 ^ -2000は倍精度では表現できないので0になります。しかし数学的には当然0ではありません。この場合の倍精度としての0は、絶対値の情報を全てなくしてしまった、ごく小さい正の数ということになるかと思います。

同様に-(2 ^ -3000)は、絶対値の情報を全てなくしてしまった、ごく小さい負の数になります。

この二つの数を倍精度で、どちらをどちらで割っても、絶対値の情報がないので NaN にするしかありません。実際、数学的には、一方は -(2 ^ 1000)で、もう一方は-(2 ^ -1000)と全く違う数になります。しかし、負の数であるということだけは、正しく表現できます。

とは言え、加減算が入ると当てにならなくなりますが。

Comments

[maisumakun]

（誤読によるコメントでしたので取り消し）

[Bearded-Ockham]

ごく小さい数同士で、割ったときの話、例えばゼロをマイナスゼロで割ったときの話をしているのですが。

[maisumakun]

これは失礼しました。

なお、x86では±0/±0が、4通りいずれでも-NaNを返すようです。

Answer 3

単に違いが目立つだけで、符号ビットもNaNのペイロードの1つに過ぎない、ということでしょうか？

まさにそういうことですね。
そこらへんの正負の違いは使いみちは思い当たりませんね

Answer 4

-NaN x - NaN = + Nan // 符号変化
+NaN x + NaN = + Nan // 符号変わらず。
-NaN + - NaN = - Nan

で、RISC-VのFPUの実装でそのあたりが間違っていたものがあった　と聞いています。