【C++】 非仮想関数へoverride指定子を付与できない理由

Question

仮想関数にしないと、override指定子を付与することができないのはなぜでしょうか。
仮想関数でなくても、オーバーライドすることはできるのではないでしょうか。
コードを以下に示します。

#include <iostream>

class Parent
{
public:
	void func()
	{}
};

class Child : public Parent
{
public:
	void func() // overrideを付与することができない
	{
		std::cout << "child" << std::endl;
	}
};

int main()
{
	Child child;
	child.func();
	return 0;
}

上記を実行すると「child」と出力されます。
func()はオーバーライドされていると思うのですが、override指定子を付与することができないのはなぜでしょうか？
func()を仮想関数にすれば、override指定子を付与することができます。

Answer 1

それはオーバーライドじゃなくて遮蔽ですかね。

ただ静的ポリモフィズム(CRTP)の文脈でoverrideつけたくなることはあります。仕方がないのでstatic_assertで代用するわけですが。

Comments

[torimingo]

ご回答ありがとうございます。
静的ポリモフィズムというのがわからなかったので調べてみたのですが、静的ポリモフィズムは仮想関数が前提ではないですか？？
仮想関数でしたら、overrideを付与することはできますよ。
試しに、以下のページにあるコードのclass Bのvoid echo()にoverrideを付与してみましたが、コンパイルエラーはでませんでした。
https://catindog.hatenablog.com/entry/2014/02/24/172031

[yumetodo]

それは私の知ってる静的ポリモフィズムじゃないなぁ。CRTPを使うやつの方です
https://qiita.com/Riyaaaa_a/items/887f6190e710c6410994
https://qiita.com/Riyaaaa_a/items/a9af401520f238f45b80

[torimingo]

リンク先をすこし読んでみたのですが、静的ポリモフィズムとは、そもそも、継承を使わなくても実装できそうにみえたのですが、そういうわけでもないのでしょうか？
リンク先では、myclass1クラスとmyclass2クラスは、Interfaceクラスを継承していますが、静的ポリモフィズムでは、これは必須なのでしょうか？
テンプレートに異なるクラスを渡すことで多様性を実現しているだけではないのでしょうか・・・？
テンプレートのなかにある関数をvirtualにできないというのは、今回の質問内容とは異なるもので、ちょっと時間がないので調べられません。
時間ないので、ちゃんとみれてませんが、全然見当違いのこと言ってたら、すいません！

[yumetodo]

リンク先で言及されているので御覧ください("非常に簡単ですが、色々と問題があります。"以下)。

[torimingo]

失礼しました、リンク先の言及後のコードしか見ていませんでした。
言及後のコードは、構文的に？ちょっと難しくて、改善点や利点がよくわかりませんでした。
（言及後のコードで、Printerクラスを配列で管理できないようにみえるのですが、管理できるのでしょうか・・・）
いずれにしても、本題から少し脱線している気がしますので、この辺までとさせてください。
静的ポリモフィズムについては、必要になったときにまた勉強してみようと思います。

Answer 2

仮想関数でなくても、オーバーライドすることはできるのではないでしょうか。

いいえ。仮想関数でないメンバ関数に対しては、「オーバーライド(override)」ではなく「隠蔽(hiding)」が行われます。そしてクラス継承を用いたプログラム設計では、この「隠蔽」はプログラマが望まない動作になりがちです。

そもそも override キーワードは、プログラマのミスによって「オーバーライド」がうっかり「隠蔽」にならないようにする 安全装置 として導入されました。cpprefjpサイトの解説 も参照ください。

この override キーワードは、新しい機能性を提供する（＝できることが増えて嬉しい）ものではありません。既存ソースから override キーワードを削除してもプログラムの意味自体は全く変化しませんが、ソースコード自身の自己記述能力の向上、将来的な設計変更に対する堅牢性の向上に大きく貢献するものです。

---

下記は、override キーワードがあればコンパイルエラーとして早期検知できたシナリオです。説明用サンプルなので大きなメリットには思えないかもしれませんが、ある程度規模の大きいコードベースに対するリファクタリング作業等では大変有用と思います。

class Base {
public:
  // 基底クラスの仮想関数を定義
  virtual void process(int);
};

class Derived: public Base {
public:
  // 仮想関数を「オーバーライド」したつもり...
  virtual void process(short) /*override*/;
  // 実際には引数パラメータが一致しないので
  // 「隠蔽(hiding)」になってしまっている
};

void func(Base& obj)
{
  // 引数objに派生クラスDerivedインスタンスが指定された場合、
  // 意図としてはオーバライド先Derived::processが呼ばれてほしい。
  // しかし前述のミスによりBase::processが呼び出されてしまう。
  obj.process(42);
}

Comments

[torimingo]

ご回答をありがとうございました。
例を挙げて頂いて、理解できました。

Answer 3

overrideが「仮想クラス関数のオーバーライドを行うこと」を明示する（うっかりミスをコンパイルエラーにする）ためのキーワードだから，ではないかと．

Answer 4

#include<iostream>
using namespace std;

struct Base{
    void say(){
        cout << "Base::say()" << endl;
    }
    void hello(int){
        cout << "Base::hello(int)" << endl;
    }
};

struct VBase{
    virtual void say(){
        cout << "VBase::say()" << endl;
    }
    virtual void hello(int){
        cout << "VBase::hello(int)" << endl;
    }
};

struct Derived : public Base {
    void say(){
        cout << "Derived::say()" << endl;
    }
    void hello(char*){
        cout << "Derived::hello(char*)" << endl;
    }
};

struct VDerived : public VBase {
    void say() override {
        cout << "VDerived::say()" << endl;
    }
    virtual void hello(char*) /* ここにoverrideをつけるとコンパイルエラーになる */ {
        cout << "VDerived::hello(char*)" << endl;
    }
};


int main(){
    Derived d;
    VDerived v;
    Base *p = &d; VBase *q = &v; // アップキャスト
    cout << "---正しくoverrideできている場合---" << endl;
    d.say();  v.say();
    p->say(); q->say();
    
    cout << "---overrideに失敗している場合---" << endl;
    d.hello(0);  v.hello(0);
    p->hello(0); q->hello(0);
}

---正しくoverrideできている場合---
Derived::say()
VDerived::say()
Base::say()
VDerived::say()
---overrideに失敗している場合---
Derived::hello(char*)
VDerived::hello(char*)
Base::hello(int)
VBase::hello(int)

---

基底クラスにおいて仮想関数でない場合は、アップキャストすると基底クラスの関数が呼ばれるが
仮想関数であった場合、正しくオーバーライドできているかで呼び出される関数が変化します。

よってオーバーライドできている事を保証するために仮想関数にはoverride指定子があるわけです。