シングルトンパターンを持つ基底クラスを継承したい

Question

今作成しているプログラムでシングルトンパターンを持つ基底クラスを継承したクラスを作る必要が出てきたので，こちらのサイト(http://glass5er.hatenablog.com/entry/20130630/1372556362))を参考にしていたのですが，このサイトで扱われているソースコードに対して1つ疑問があったので質問しました．

サイトのソースコードは以下のようになっています．

#include <iostream>
#include <string>
 
using namespace std;
 
//----------------
 
template <class U>
class SingletonParent
{
  public:
    static U* getInstance() {
      static U instance;
      return &instance;
    }
 
  protected:
    //--  template func in template class available
    template<typename T> void print2Times(T v);
 
    SingletonParent() {
      base_str = string("BASE");
    }
    virtual ~SingletonParent() {}
    string base_str;
};
 
 
//--  use template succession
class SingletonChild : public SingletonParent<SingletonChild> {
  public:
    SingletonChild() {
      child_value = 0;
    }
    ~SingletonChild() {}
 
    void set(int v) { child_value = v; }
    int  get()      { return child_value; }
 
    void print()    {
      print2Times(base_str);
      print2Times(child_value);
    }
  private:
    int child_value;
};
 
//--  when defining template func in template class,
//--  2 template declaraton required
template<class U> template<typename T>
void
SingletonParent<U>::print2Times(T v)
{
  cout << v << v << endl;
}
 
 
//----------------
 
 
int
main(int argc, char const* argv[])
{
  //--  actually the same instance
  SingletonChild *inst1 = SingletonChild::getInstance();
  SingletonChild *inst2 = SingletonChild::getInstance();
 
  //--  both 0
  cout << inst1->get() << endl;
  cout << inst2->get() << endl;
 
  //--  BASEBASE, 00
  inst1->print();
 
  inst2->set(3);
 
  //--  both 3
  cout << inst1->get() << endl;
  cout << inst2->get() << endl;
 
  //--  BASEBASE, 33
  inst1->print();
  return 0;
}

派生クラスのコンストラクタがpublicになっているので，これではシングルトンの意味がないと思い，privateに変更したところ，下記のようにSingletonChildのコンストラクタがprivateだからアクセスできないと怒られました...
私としては，基底クラスから継承したgetInstance()を使って派生クラスの内部からSingletonChild()にアクセスしているので，問題ないと考えていたのですが，どのあたりが間違っているのでしょうか？

g++ -O0 -g3 -Wall -c -fmessage-length=0 -MMD -MP -MF"src/main.d" -MT"src/main.d" -o "src/main.o" "../src/main.cpp"
../src/main.cpp: In instantiation of ‘static U* SingletonParent<U>::getInstance() [with U = SingletonChild]’:
../src/main.cpp:93:43: required from here
../src/main.cpp:70:5: error: ‘SingletonChild::SingletonChild()’ is private
SingletonChild() {
^
../src/main.cpp:40:16: error: within this context
static U instance;
^
make: *** [src/main.o] エラー 1

Answer 1

私が昔ハマった勘違いを同じようにされているかもしれないので投稿します。

私は昔classのprivateやprotected宣言をクラスのインスタンスから見た公開範囲の指定だと考えていました。しかし、実際には同一クラスであれば別のインスタンスからも変更できます。

class Hoge
{
private:
	int _value;
public:
	Hoge(int value): _value(value) {}

	int GetValue() {  _value; }
	void AddsTo(Hoge &obj)
	{
		// 別のインスタンスのprivateメンバを変更する
		// ※昔は別インスタンスなのでできないと思っていた
		obj._value += this->_value;
	}
};

void main()
{
	Hoge a(10);
	Hoge b(5);

	a.AddsTo(b);
	printf("%d", b.GetValue()); // 15が表示される
}

class の private や protected の宣言は、クラス定義から見た公開範囲を指定しています。
privateは継承関係無く同一クラス内のみ、protectedは継承関係にある派生クラス側への許可のみで、そのためにfriend宣言もクラス定義間の条件付けになっています。
このために、派生クラス側の private な指定には、基底クラス側からはアクセスできません。
基底クラス側に処理を公開する方法は、public宣言か、friend宣言しかありません。

Comments

[penpen]

回答ありがとうございます．

指摘されたとおり，今まで私はprivateやprotected宣言を"クラスのインスタンスから見た公開範囲の指定"と考えていたようです．
指摘されるまではそのように考えていたことにすら気がつかなかったのですが...

private や protected の宣言は、”クラス定義から見た公開範囲を指定”と考えると辻褄があって色々とスッキリしました．
このような誤って理解している場合は自分ではなかなか気が付けないので大変ありがたいです．
本当にありがとうございました．

Answer 2

privateメンバは、自クラス内部 または friend宣言したクラス からしかアクセスできません。

SingletonParent<SingletonChild>クラスをfriend宣言すれば、仰っている内容は実現できます。

class SingletonChild : public SingletonParent<SingletonChild> {
  friend class SingletonParent<SingletonChild>;  // 追加
  private:  // privateに変更
    SingletonChild() {
      child_value = 0;
    }
  public:
  ...

Comments

[penpen]

回答ありがとうございます．

私は，基底クラスから継承したメンバは派生クラスのメンバになる(つまり，getInstance()のアクセスは内部からのアクセスになる)と理解していたのですが，誤った理解をしていたみたいですね...
実際の継承のメカニズムはどのようになっているのでしょうか？
参考書やネットには継承の内部的な話はなかなか載っていないので，教えていただけるとありがたいです．

[yohhoy]

（分かりやすさはさておき）正確な定義は下記を参照してみてください。

http://ezoeryou.github.io/cpp-book/C++11-Syntax-and-Feature.xhtml#class.access