エラーが出ずにコンパイル終了しないコードについて

Question

実現したいこと

　次のコードは実行時に再帰するコードですが，なぜか，エラーは何も表示しないのに，コンパイルが終わりません。mac と　ubuntu の両方で同じ現象です。
基本的なミスがあるとしても，文法上のエラーは出ないのは不思議です。
どこが問題なのか，どなたか教えていただけませんか。

該当のソースコード

#include <tuple>
template<typename Tuple,typename Func>
auto nRunMakeTupleLoop(std::size_t N,std::size_t D, Tuple&& tuple,Func func){
    auto ob = func();
    auto t = std::tuple_cat(std::forward<Tuple>(tuple), std::make_tuple(ob));
    if ( N == D )
        return t;
    else
        return nRunMakeTupleLoop(N, D+1,std::forward<decltype(t)>(t), func);
}

template<typename Func>
auto nRunMakeTuple(std::size_t N,Func func){
    auto ob = func();
    auto tu = std::make_tuple(ob);
    if ( N == 1 )
        return tu;
    else
        return nRunMakeTupleLoop(N,2, std::forward<decltype(tu)>(tu),func);
}

struct C{};

int main(int argc, char**argv){
   
      auto obs = nRunMakeTuple(3,[](){
           return new C;
      });
                
       delete std::get<0>(obs);
       delete std::get<1>(obs);
       delete std::get<2>(obs);
}

補足情報（FW/ツールのバージョンなど）

mac 13.2 clang
c++20 でコンパイル

ubuntu 22.04
gcc 11.3.0

コンパイルオプション　-std=c++20

Answer 1

N==D は実行時の停止条件です。 コンパイル時は if の条件に関係なく両側にあるテンプレートを展開しようと試みます。

結果として型引数 Tuple の部分が異なった nRunMakeTupleLoop を際限なく実体化しようとして無限ループに陥ります。

Comments

[jbe00214]

いつもありがとうございます。コンパイル時無限ループということがあるとは思いませんでした。ありがとうございました。

[SaitoAtsushi]

コンパイラの都合によってテンプレートの実体化の再帰に上限を設定してもよく、仕様としての要求というわけではないという断り付きで 1024 をガイドラインとすると規格には書かれています。
https://timsong-cpp.github.io/cppwp/n3337/implimits#2.37

停止条件が付いていないテンプレートが単純なものであればこの上限にすぐに達してエラーになるのですが、この数値はテンプレートのネストの「深さ」に関する制限なので幅方向の広さもある構造になっている場合にはなかなかエラーにならずに時間やメモリを消費し続けてしまうということも起こりえます。

たとえばこういう間違いをしても一瞬でエラーとして帰ってくるのですが……

template <int n>
void foo(void) {
if(n!=0) {
foo<n-1>();
}
}

int main(void) {
foo<10>();
}

おそらく std::tuple_cat もそれなりに複雑なテンプレートでしょうし、上手い (?) 具合に厄介なパターンを引き当ててしまったのでしょう。