まず、大体の場面で言えるところですが、専門用語(のように見えるもの)に厳密性を求めない方が良いです。
日本語だと漢字熟語や外来語のカタカナ語でものものしく見えるかも知れませんが、オリジナルの英語で見たら、単なる日常用語の繋ぎ合わせに過ぎません。
なので、その用語の指す意味は、その言葉が持つ普通の意味の範囲内で、文脈や話者の意識に応じて変わってくると見た方が良いです。
※そうは言っても、「この用語ならこのことを指す」というのが大体決まるような用語もあります。それぞれです。
では本題の「『サーバアプリケーション』というのはどのようなものなのでしょうか」という疑問ですが、まず単純に「『サーバ』としての役割を持つ『アプリケーション(ソフトウェア)』」です。
それぞれのパーツとしては、
- サーバ
システムを「機能を提供するもの」と「享受するもの」とに分離する考え方・構成法 ( クライアント・サーバシステム ) で捉えた時の、「提供するもの」の方を指す言葉
※Webならば、URLに応じたコンテンツを要求するブラウザやそれを動かすPCがクライアントで、コンテンツを送信してくるApacheやNginxといったWebサーバソフトウェア、あるいはそういったソフトを動かすコンピュータ群がサーバになります。
- アプリケーション(ソフトウェア)
特定の目的を実現するために開発されたソフトウェア
…どんなソフトウェアでも目的はあるんじゃないの? と不思議に思われるかも知れませんが、そこは他のソフトの縁の下の力持ちとして、それ自身明確な利用目的が言いづらいOSと対比する意味で「特定の目的」と言ってると思ってください。
で、件のページで言っている「Webサーバ」「メールサーバ」としての機能を実現するためのソフトウェア ( 前者はApacheやNginx等、後者はPostfix等 ) のことを「サーバアプリケーション」と呼ぶことは十分にあります。
ただ、ここらへんのシステムはもう枠組みや実現すべき機能がある程度固まっているので ( とは言え設定等で幾らでもカスタマイズする余地はありますが )、あまり「特定の目的」という見方はされず、どちらかと言うと「アプリケーション」ではなく、「縁の下の力持ち」とまでは行かないまでも、中間的な位置づけの「ミドルウェア」と呼ばれることの方が多いとは思います。
とは言え、これは用語を使う人の意識によって変わる問題なので、文脈を無視して判断すると危険です。
一方で、「一般的に『Webサーバ、Webアプリケーションサーバ、データベース』の3層構成が有名だと思うのですが」で出てくる3種類のサーバは、当初単純な「URLに応じて決まったコンテンツを提供するだけ」だったWebシステムが、外部プログラムとの連携機能を得て複雑化したために、ソフトウェア・ハードウェア的に役割を細分化して出てきたものです。( といっても「データベース」は昔からあったものですが )
つまり、
- Webサーバ
システム全体の中で、クライアント(ブラウザ等)からのリクエストを受け、コンテンツを返す部分を担当する、狭い意味での「Webとしての機能」を担当するサーバ
- Webアプリケーションサーバ
提供するコンテンツの動的生成、ビジネスロジックの実現や他システムとの連携 ( 例えばネットショップなら在庫管理、注文管理、決済等々のビジネスロジックを捌く必要があります ) という「サイトの目的を実現するコアの部分」を担当するサーバ
- データベースサーバ
データの蓄積・整理、検索、統計といったデータ管理を担当するサーバ
こういった感じの役割分担です。
最後に改めて「『サーバアプリケーション』というのはどのようなものなのでしょうか」という質問に立ち戻りますが、今時アプリケーション開発するシステムってWebが大半でしょうから、大抵の場面で上の「Webアプリケーションサーバ」としてのアプリケーションソフトウェアを指すことが多いだろうと思います。
ただ、繰り返しになりますが、これは文脈や話者の意識に左右されるものですので、あくまで「何かの『サーバ』機能を提供する『アプリケーション』なんだな」とあっさり捉えておいて、詳細は場面に応じてよく考えましょう、と注意していただければと思います。