C++ グローバルに定義したクラスインスタンスのコンストラクの実行順

Question

GCC C++でグローバルに定義したクラスインスタンスはmainの実行前にコンストラクタは動作済みです。グローバルに定義したインスタンスが複数ある場合のコンストラクタの実行順はどのように決まるのでしょうか？
クラスの定義場所は
1.　main関数のあるソース上に定義したクラス
2.　main関数のあるソース以外のソース上に定義したクラス
3.　ライブラリに定義れているクラス
の3種があります。
リンカはグローバルに定義したコンストラクタのインスタンスポインタを並べたテーブルを作成し、C++の起動処理(crtxx)でmainの実行前にインスタンスを実行しているはずです。
リンカがインスタンスを見つけた順にテーブルを作成していると想像しています。
ソース内のインスタンスの記述順やリンカに指定するオブジェクトファイルの順番、ライブラリの指定順、ライブラリ作成時のオブジェクト指定順などが関係あるのでしょうか。

Answer 1

AVRの起動処理にiniNセクションが定義されていることが解りまっした。https://www.nongnu.org/avr-libc/user-manual/mem_sections.html
initセクションの処理を作成すると、起動処理に任意の処理が追加できます。私の目的は、コンストラクタの呼び出し前に処理を追加できれば達成できるので、この機能を使えば実現可能です。よって、コンストラクタの実行順は別問題とします。
貴重な情報有難うございました、勉強になりました。感謝します。

Answer 2

一応の規則としてひとつの翻訳単位 (translation unit; ひとつのソースファイルと理解してよいです) 内では定義された順序で初期化されるということにはなっているようです。

https://timsong-cpp.github.io/cppwp/n3337/basic.start#init-2

たとえばあるソースで a と b を定義していてもうひとつで c と d を定義しているとき、 a より速く b が初期化されることはないし c より先に d が初期化されることは無いですが、 abcd かもしれないし cdab かもしれず、あるいは acbd ということもありうるということになります。

Answer 3

linux(gcc-c++ 4.8.5, x86_64)で試すと、BSSの若いアドレス順に実行してそうです。

foo1.cpp

#include <iostream>
using namespace std;

class Foo1 {
public:
    Foo1();
} bar1;

Foo1::Foo1() {
    cout << "Foo1\n";
}

foo2.cpp

#include <iostream>
using namespace std;

class Foo2 {
public:
    Foo2();
} bar2;

Foo2::Foo2() {
    cout << "Foo2\n";
}

foo3.cpp

#include <iostream>
using namespace std;

class Foo3 {
public:
    Foo3();
} bar3;

Foo3::Foo3() {
    cout << "Foo3\n";
}

test.cpp

int main() {
    return 0;
}

$ g++ -c test.cpp foo1.cpp foo2.cpp foo3.cpp

foo1,2,3の順でリンクすると

$ g++ test.o foo1.o foo2.o foo3.o
$ ./a.out
Foo1
Foo2
Foo3

$ nm a.out
［...]
0000000000601171 B bar1
0000000000601173 B bar2
0000000000601175 B bar3
［...]

foo1,3,2の順でリンクすると

$ g++ test.o foo1.o foo3.o foo2.o
$ ./a.out
Foo1
Foo3
Foo2

$ nm a.out
［...]
0000000000601171 B bar1
0000000000601175 B bar2
0000000000601173 B bar3 ★bar2より若い
［...]

Answer 4

これはC++言語では「static initialization order 'fiasco'」として知られている問題（ある種の仕様欠陥）です。

ソース内のインスタンスの記述順やリンカに指定するオブジェクトファイルの順番、ライブラリの指定順、ライブラリ作成時のオブジェクト指定順などが関係あるのでしょうか。

特定リンカの特定バージョンにおいては一定の規則を見出せる可能性はありますが、基本的にはコーディング時点で回避すべき事項です。

Comments

[koisann]

yohhoyさん
有難うございました。fiascoですか。リンカの実装依存問題で明確な答えは、今のところなしですね。特定の処理系なら同一なので、利用目的によては回避可能と理解しました。他の方からの例も頂きましたので、いくつか試してみます。解決法が見つかるかもしれません。
具体的な利用目的は、既存のデバッグログのクラスがあり、これをコンストラクタ内で利用することです。最初に実行されるコンストラクタだけ解ればよいので、main関数のあるソースの先頭にインスタンスを定義し、リンカのソース指定の先頭に指定すればよさそうな気がしています。色々、試してみます。
ご教示頂いた「static initialization order 'fiasco'」小生には、すんなり理解出来るものではありません、何度か読み返します。

[yohhoy]

FYI: GCC固有の解決策として、init_priority属性を利用して初期化順を制御することもできます。
https://gcc.gnu.org/onlinedocs/gcc/C_002b_002b-Attributes.html

[koisann]

yohhoyさん
Arduino AVRで試しましたが、上手き来ませんでした。inoファイルに定義したクラスインスタンのコンストラクタを最初に動したいのですが、ライブラリで定義されているクラスのコンストラクタが先に動作している事をelfの逆アセンブラで確認しました。異なるソース間や、init_priority指定のないものとの優先度には対応していないようですね。

[yohhoy]

ターゲットアーキテクチャ向けのリンカ依存な部分があるので、Arduino AVRには機能しないのかもですね。

ちなみにinit_priorityの本来目的はstatic initialization order fiascoへの対処、つまり異なるソース（≒翻訳単位）間でのオブジェクト初期化順を制御することです。
http://umezawa.dyndns.info/wordpress/?p=5939

[koisann]

私が確認したのは既存ライブラリで定義したクラスと、自身が作成したino上のクラスのコンストラクタです。既存クラス側にはinit_priorityは指定していません。init_priorityの指定がないクラスト指定したクラスの優先度はどうなるのですかね。 参照の説明の「attribute を付けない時」は低優先度と理解しました。なら出来るはずだが・・。
arduinoでは最適化がリンカで行われる(?)ので逆アセンブラを追うのは大変です（一度しか呼ばれない関数は内部に展開されています）。最優先で実行してくれるインスタンスが定義できれば私的には良いので何か案がありそうですね。
尚、arduinoはHWの初期化(init()はmain()の前実行)の前にコンストラクタが呼び出されるので、コンストラクタでSerialの初期化を行うとinit()でUARTが初期化されるため動作しません。Serial1はini()で初期化がないので動作しました。ここも修正したいと難義中です。arduinoのlibcのソースが見つからず調査が進みません。貴重な情報、丁寧な説明有難うございます。