以下「こういうことだろうなぁ」という想像、私見です。
C言語は古いです。あなたが1970年代のコンピュータにどのくらいの実感があるかわかりませんが、そのころに開発されたC言語は、当然ながらそのころのコンピュータの能力を基準に設計されました。
C言語では、プログラムの部分毎にファイルをいくつかに分割したとして、各々のファイルの情報は、プログラマが人力でソース間で共有すべき情報(宣言)を抽出して「ヘッダファイル」としてコンパイルするソースファイルに与えてやります。プログラム全体で、シンボルに対応する実体が一つだけ生成されるようにする(定義)のもプログラマの責任です。宣言と定義を分離できるようになっていますし、分離するのが普通の書き方とも言えます。
今どきの言語であれば、指定した(あるいは決められた)フォルダにファイルを置いておくだけで勝手に必要な情報を拾ってよろしく処置してくれるものが多いのではないでしょうか。でも、70年代のコンピュータにそんなストレージ容量、処理するメモリ容量、ファイルをいくつも探して読み込む速度もありませんでした。なので、人間がコンピュータにやらせる仕事の下ごしらえをする、という設計になったわけです。
(最初期のCでは宣言で情報を共有することすらできなかったようですが、その時代までは私も知りません)
さて、C++。
C言語の発展型です。C言語との互換性を確保する以上、この辺のコンセプトをいまさら変えるわけにもいきません。クラスを導入したからと言って、やはり「宣言」と「定義」はそれぞれが必要な場面についてC言語と同様にせざるを得ないです。通常のクラスのメンバ変数はクラスの実体を生成することで「定義」とすればよいでしょう。しかし静的なメンバ変数はどうしましょう...通常の(クラスに含まれない)変数をextern宣言しておいて、実体を別に定義するのと同様に、クラスの静的変数もどこかで定義してやらなきゃいけない、ということになるわけです。
宣言が他にあるかにかかわらず、定義ですから、必要な情報を揃えましょう。変数であれば、型と名前(場合によっては属性等も)が必要ですね。宣言と矛盾するのもいけません。宣言と定義に矛盾がないこともプログラマの責任、ですから。
内容は他のファイルで書いてあるからいいじゃない、よきに計らえ...そんなのは、能力の高いコンピュータを前提とする今どきの言語の発想です。Cは、プログラマがコンピュータに奉仕することによって、能力の低いコンピュータであってもその能力を骨の髄まで絞り出す言語なのです。そして、C++はそれを引き継ぎました。その結果のひとつが、「静的クラスメンバ変数に定義が必要」です。
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2021/02/28 14:24 編集