システムコール・ライブラリー呼び出しの優先度

以下のコードは標準入力で受け取った文字列を標準入力するだけのコードです。

C
1#include <stdio.h>
2
3const int BUF_SIZE = 255;
4char buf[BUF_SIZE];
5
6int main(){
7    printf("Input : ");
8    fgets(buf, BUF_SIZE, stdin);
9    printf("Output : %s", buf);
10    return 0;
11}

実行して適当な文字列を入れると以下のようになります。

shell
1Input : hoge
2Output : hoge

次に fgets の部分を read(2) に置き換えた以下を考えます。

C
1#include <stdio.h>
2#include <unistd.h>
3
4const int BUF_SIZE = 255;
5char buf[BUF_SIZE];
6
7int main(){
8    printf("Input : ");
9    read(STDIN_FILENO, buf, BUF_SIZE);
10    printf("Output : %s", buf);
11    return 0;
12}

すると printf("Input : ") が実行されるより前に入力待ち状態になり、実行結果は以下のようになります。

shell
1hoge
2Input : Output : hoge

このあたりの挙動は、何かしらの優先度に基づいて定められているものなのでしょうか？
ご教授いただけると幸いです、よろしくお願い致します。

行動規範の内容に同意します

回答2件

まず前提として、ターミナルで対話実行した場合、stdout はデフォルトで line-bufferred モードであり、改行文字出力でバッファが自動的に flush されます。( もちろん、明示的に fflush を呼んでも flush されます )
そうすると、今回のソースで、最初の printf の時点では改行が無いので出力が flush されません。

しかし、GNU/Linux で使われている glibc の場合 ( macはちょっと分かりませんが )、fgets等のstdio入力関数を呼んだところでも、連動して stdout に対して flush が行われるようになっています。
これが read の場合はそういう挙動がないので、fgets を使った版と read を使った版で、出力の flush のタイミングに差が出るということになります。

この挙動については、sleep 等で fgets のタイミングをずらすなりすれば、より実感し易いかと思います。

なお、多分これはマニュアルに載っていない挙動だとは思うのですが、伝統的に UNIX系の stdio ではそういう実装になっているらしいです。
以下、glibc のソースの該当箇所を挙げます。( 処理内容というよりもコメントをご覧ください )
出展: https://github.com/lattera/glibc/blob/master/libio/fileops.c#L497 ( どなたかの glibc のミラーリポジトリより )

fileops.c
1  if (fp->_flags & (_IO_LINE_BUF|_IO_UNBUFFERED))
2    {
3      /* We used to flush all line-buffered stream.  This really isn't
4	 required by any standard.  My recollection is that
5	 traditional Unix systems did this for stdout.  stderr better
6	 not be line buffered.  So we do just that here
7	 explicitly.  --drepper */
8      _IO_acquire_lock (_IO_stdout);
9
10      if ((_IO_stdout->_flags & (_IO_LINKED | _IO_NO_WRITES | _IO_LINE_BUF))
11	  == (_IO_LINKED | _IO_LINE_BUF))
12	_IO_OVERFLOW (_IO_stdout, EOF);
13
14      _IO_release_lock (_IO_stdout);
15    }

余談ですが、C++ では、これは std::cin.tie() によって、標準入力での入力処理時に、標準出力 std::cout の flush を連動させるかを制御できるようになっています。
参考: https://ja.cppreference.com/w/cpp/io/basic_ios/tie

投稿2021/02/27 06:54