テンプレートによるメタ関数の短絡評価の方法

Question

質問

テンプレートによるメタ関数の短絡評価の方法について質問です。

以下のコードをみてください。

#include <type_traits>

struct Hoge {
  using value_type = int;
};

struct Hige {
  using value_type = int;
};

struct Hage {};

template <class T>
using check = std::conjunction<std::is_same<T, Hoge>, std::is_same<typename T::value_type, int>>;

int main()
{
  static_assert(check<Hoge>::value); // -> 当然OK
  static_assert(check<Hige>::value); // -> static_assertに引っかかる
  static_assert(check<Hage>::value); // -> static_assertに引っかかるのではなく、value_typeが無いと言われる
}

上の３つのstatic_assertのうち下２つを「static_assertに失敗」させたいのですが、一番下はstruct内にvalue_typeの定義が無いため、"static_assetに失敗"ではなく、value_typeが存在しないというコンパイルエラーになります。

std::conjunctionは短絡評価すると書かれていたため、問題ないと思ったのですが間違っていたようです。

どのように実装すれば、typename T::value_typeの存在を評価せずに、その前段階のis_sameの時点でstd::false_typeにすることができますか？
教えて下さい...... よろしくお願いします。

Answer 1

とりあえず思いつくのは、SFINAEを使ったこんな方法ですかね。

template<typename T, typename U = void> struct check: std::false_type {};
template<typename T>
struct check<T, std::void_t<typename T::value_type>>:
std::conjunction<
    std::is_same<T, Hoge>,
    std::is_same<typename T::value_type, int>
> {};

ちなみにC++20のコンセプトを使えば

template<typename T>
concept check_c = std::same_as<T, Hoge> && std::same_as<typename T::value_type, int>;

static_assert(check_c<Hoge>);
static_assert(check_c<Hige>);
static_assert(check_c<Hage>);

なんて書けます。

Comments

[wistaile]

本当にありがとうございます！
この方法はまったく思いつきませんでした。
コンセプトだと怒られないんですね……　環境が許せば早く使いたい……

Answer 2

std::conjunctionは短絡評価すると書かれていたため、問題ないと思ったのですが間違っていたようです。

std::conjunctionメタ関数は、テンプレート引数に指定したメタ関数の インスタンス化を短絡評価 します。質問中にある記述では、(2)std::is_sameメタ関数のインスタンス化が遅延評価されるのですが、その引数に指定するtypename T::value_type型はcheckメタ関数において有効な型でなければなりません。

template <class T>
using check = std::conjunction<
  std::is_same<T, Hoge>,                     // (1)
  std::is_same<typename T::value_type, int>  // (2)
>;

---

補助メタ関数check_value_typeを用意し、typename T::value_typeの確認タイミングを遅延させることで問題を回避できます。

Demo: https://wandbox.org/permlink/yQiK48uzmTFr5SvF

template <class T>
struct check_value_type : std::is_same<typename T::value_type, int> {};

template <class T>
using check = std::conjunction<std::is_same<T, Hoge>, check_value_type<T>>;

static_assert(check<Hige>::value);  // error: static assertion failed
static_assert(check<Hage>::value);  // error: static assertion failed

Comments

[wistaile]

ありがとうございます。
なるほど……　インスタンス化の短絡評価の意味するところが理解できた気がします。
結果としてインスタンス化されなくても、メタ関数の呼び出しの式は正しい必要があるわけですね。勉強になりました。