インターフェースクラスを仮想継承して実装する理由

Question

C++の教科書(ロベールのC++入門講座p655)で、インターフェースクラスを仮想継承して実装していました。
実装する際は、仮想継承である必要はないと思うのですが、なぜ仮想継承しているのでしょうか。
試しに、class CNumber : public IInt, public IDoubleとしましたが、動きました。

class IIntとclass IDoubleがclass IBaseを仮想継承している理由は分かります。
仮想継承でないと、class CNumberからのGetStringメンバ関数の呼び出しがあいまいになるからです。
(恐らく、インターフェースクラスに共通のインターフェースを与えるために、class IBaseを仮想継承しているのだと思います)

#include <iostream>
#include <string>

class IBase {
public:
	virtual ~IBase() {}
	virtual std::string GetString() const = 0;
};

class IInt : public virtual IBase {
public:
	virtual int GetInt() const = 0;
};

class IDouble : public virtual IBase {
public:
	virtual double GetDouble() const = 0;
};

class CNumber : public virtual IInt, public virtual IDouble {
public:
	CNumber(int intData, double doubleData) : m_int(intData), m_double(doubleData) {
	}
	std::string GetString() const {
		return std::string("CNumber");
	}
	int GetInt() const {
		return m_int;
	}
	double GetDouble() const {
		return m_double;
	}

private:
	int m_int;
	double m_double;
};

int main() {
	CNumber cnumber(2, 3.0);

	IBase& ibase = cnumber;
	std::cout << ibase.GetString() << std::endl;

	IInt& iint = cnumber;
	std::cout << iint.GetString() << std::endl;
	std::cout << iint.GetInt() << std::endl;

	IDouble& idouble = cnumber;
	std::cout << idouble.GetString() << std::endl;
	std::cout << idouble.GetDouble() << std::endl;
}

そもそも、仮想継承はダイヤモンド継承を作るために行うものだと思うので、class IIntとclass IDoubleをclass CNumberが仮想継承すると、クラス図が書けなくなるのではないでしょうか。
以下に、その理由を説明します。

class IIntとclass IDoubleがclass IBaseを仮想継承せず、class CNumberも両者を仮想継承しなければ、クラス図は、図1です。

図1. 多重継承

class IIntとclass IDoubleがclass IBaseを仮想継承して、class CNumberは両者を仮想継承しなければ、クラス図は図2です。

図2. ダイヤモンド継承

class IIntとclass IDoubleがclass IBaseを仮想継承して、class CNumberも両者を仮想継承すると、クラス図は、図3の様になり？、いまいち理解できません。

図3. 意味不明な継承

Answer 1

class IIntとclass IDoubleがclass IBaseを仮想継承して、class CNumberも両者を仮想継承すると、クラス図は、図3の様になり？、いまいち理解できません。

図3のような状況にはなりません。CNumberクラスがIInt, IDoubleを仮想継承する／しないにかかわらず、クラス継承図は図2の通りになります。（Chironianさんの回答と同じ）

クラス継承関係におけるvirtualキーワードは、「あるクラス定義からみた全ての基底クラスのうち、virtualキーワード付きで派生した同じクラス型同士を、それぞれ1つの仮想基底にまとめる」働きとなります。

CNumberクラス定義からさかのぼった場合、（virtualを無視すれば）1つのIInt, 1つのIDouble, 2つのIBaseとなりますが（図1）、実際にはvirtual指定によりIBaseが1つにまとめられます（図2）。

---

実装する際は、仮想継承である必要はないと思うのですが、なぜ仮想継承しているのでしょうか。
試しに、class CNumber : public IInt, public IDoubleとしましたが、動きました。

おっしゃる通り、このケースでは仮想継承する意義がさほどないと思います。実際、よくあるダイアモンド継承の説明では、ここ(public IInt, public IDouble)を仮想継承にはしませんし。

本当の理由は著者に聞かないとわかりませんが、「インターフェースクラス」という扱いをしていることから、あらゆるクラス継承関係上で実体が複数個現れることがないよう、予防的に常にvirtual派生としているのかもしれません。例えばJava言語のinterfaceと同じ扱いとしたいならば、「インターフェースクラス」＝無条件にvirtual派生するという設計方針には一定の妥当性があります。

とはいえ、C++はJavaではありませんから、この設計が常にベストかと言われると大いに疑問はあります。少なくとも、仮想継承はメモリ使用量と処理速度に関して追加のオーバーヘッドが発生するため、むやみやたらに使わない方が良いのは確かです。

Comments

[JADEN]

回答ありがとうございます。

Answer 2

こんにちは。

IIntとIDoubleが１つになろうとするわけではないです。
もう１つ別にCNumberExがIIntとIDoubleをvirtual継承し、更にCSuperNumberがCNumberとCNumberExを継承したら、IIntとIDoubleがダイヤモンド継承されてしまいますが、virtualキーワードが付いているのでIIntとIDoubleとIBaseはそれぞれ１つだけ存在するようになると言うことです。

Comments

[JADEN]

回答ありがとうございます。