Raspberry Pi 上で、tcコマンドを用いてネットワーク遅延を疑似的に発生させたい

実現したいこと

回線遅延の状態をエミュレートしたく、Raspberry Pi 3 Model B上でtcコマンドを用いてネットワーク遅延を疑似的に発生させたい

聞きたいこと

tcコマンドの使い方
tcコマンド利用にあたり、パーミッションの設定、有効化等、何か必要な手順があるのか

試したこと

200msの遅延を発生させようとした

 sudo tc qdisc add dev eth0 root netem delay 200ms

しかし、いくつかの宛先にpingを打ってRTTを計測したところ、値は反映されていませんでした

※なお、以下の通り確認したところ、設定上では、値が反映されているようでした

$ sudo tc qdisc show dev eth0
qdisc netem 8005: root refcnt 2 limit 1000 delay 200.0ms

備考

以下、使用環境（Debianのバージョン）です。

$ cat /etc/debian_version
8.0

参考にしたサイト1
参考にしたサイト2

ご教示頂きたく、お願いいたします。

行動規範の内容に同意します

回答1件

ベストアンサー

tcコマンドは、LinuxカーネルのTraffic controlと言う機能を利用しているようで、raspberry piのLinuxカーネルをビルドしたときのカーネルコンフィグレーションの設定次第で、使えたり使えなかったりしそうです。

tc(8) - Linux man page

Tc is used to configure Traffic Control in the Linux kernel. Traffic Control consists of the following:

質問者さんと同じ環境ではないですが、私の持っているRaspberry Pi Model B では動作しました。

sh
1pi@raspberrypi ~ $ uname -a
2Linux raspberrypi 4.1.19+ #858 Tue Mar 15 15:52:03 GMT 2016 armv6l GNU/Linux
3pi@raspberrypi ~ $ cat /etc/debian_version
47.11
5pi@raspberrypi ~ $ cat /etc/issue
6Raspbian GNU/Linux 7 \n \l
7
8# 何もしていない状態でping
9ping -c 3 h5 http:www.google.com
10PING www.google.com (216.58.197.228) 56(84) bytes of data.
1164 bytes from nrt13s49-in-f228.1e100.net (216.58.197.228): icmp_req=1 ttl=54 time=4.41 ms
1264 bytes from nrt13s49-in-f4.1e100.net (216.58.197.228): icmp_req=2 ttl=54 time=4.48 ms
1364 bytes from nrt13s49-in-f228.1e100.net (216.58.197.228): icmp_req=3 ttl=54 time=4.36 ms
1464 bytes from nrt13s49-in-f228.1e100.net (216.58.197.228): icmp_req=4 ttl=54 time=4.54 ms
1564 bytes from nrt13s49-in-f228.1e100.net (216.58.197.228): icmp_req=5 ttl=54 time=4.58 ms
16
17--- www.google.com ping statistics ---
185 packets transmitted, 5 received, 0% packet loss, time 4006ms
19rtt min/avg/max/mdev = 4.364/4.479/4.585/0.100 ms
20
21# 400m秒の遅延をセット
22pi@raspberrypi ~ $ sudo tc qdisc add dev eth0 root netem delay 400ms
23pi@raspberrypi ~ $ ping -c 5 www.google.com
24PING www.google.com (216.58.197.228) 56(84) bytes of data.
2564 bytes from nrt13s49-in-f228.1e100.net (216.58.197.228): icmp_req=1 ttl=54 time=404 ms
2664 bytes from nrt13s49-in-f228.1e100.net (216.58.197.228): icmp_req=2 ttl=54 time=404 ms
2764 bytes from nrt13s49-in-f228.1e100.net (216.58.197.228): icmp_req=3 ttl=54 time=404 ms
2864 bytes from nrt13s49-in-f228.1e100.net (216.58.197.228): icmp_req=4 ttl=54 time=404 ms
2964 bytes from nrt13s49-in-f4.1e100.net (216.58.197.228): icmp_req=5 ttl=54 time=404 ms
30
31--- www.google.com ping statistics ---
325 packets transmitted, 5 received, 0% packet loss, time 3999ms
33rtt min/avg/max/mdev = 404.265/404.354/404.452/0.573 ms
34
35# 400m秒の遅延を解除
36pi@raspberrypi ~ $ sudo tc qdisc del dev eth0 root
37
38# 再度試す。（元に戻っている）
39pi@raspberrypi ~ $ ping -c 5 www.google.com
40PING www.google.com (172.217.161.68) 56(84) bytes of data.
4164 bytes from nrt20s09-in-f4.1e100.net (172.217.161.68): icmp_req=1 ttl=54 time=4.32 ms
4264 bytes from nrt20s09-in-f4.1e100.net (172.217.161.68): icmp_req=2 ttl=54 time=4.29 ms
4364 bytes from nrt20s09-in-f4.1e100.net (172.217.161.68): icmp_req=3 ttl=54 time=4.26 ms
4464 bytes from nrt20s09-in-f4.1e100.net (172.217.161.68): icmp_req=4 ttl=54 time=4.42 ms
4564 bytes from nrt20s09-in-f4.1e100.net (172.217.161.68): icmp_req=5 ttl=54 time=4.30 ms
46
47--- www.google.com ping statistics ---
485 packets transmitted, 5 received, 0% packet loss, time 4007ms
49rtt min/avg/max/mdev = 4.269/4.322/4.425/0.079 ms
50pi@raspberrypi ~ $

LinuxカーネルのTraffic controlに関するコンフィグレーションですが、以下の記事によると
How to configure the Linux kernel/net/sched

Option: NET_CLS_ACT
Kernel Versions: 2.6.15.6 ...
(on/off) Actions
depends on EXPERIMENTAL
select NET_ESTIMATOR
Say Y here if you want to use traffic control actions. Actions get attached to classifiers and are invoked after a successful classification. They are used to overwrite the classification result, instantly drop or redirect packets, etc.
A recent version of the iproute2 package is required to use extended matches.

あたりがそれっぽそうです。（※あくまで私の思うところの「それっぽい」なので、ご注意ください）

実際に今、動いているLinuxカーネルにそれが当たっているかは、以下の記事をみると、modprob configs で情報が得られるようです。
How to get a Kernel .config file from a Pi(b) - www.raspberrypi.org

この方法で確認してみたところ、確かに（私のラズパイLinuxカーネルでは）カーネルに組み込まれていました。

sh
1pi@raspberrypi ~ $ sudo modprobe configs
2
3pi@raspberrypi ~ $ zcat /proc/config.gz > kernel.config
4
5pi@raspberrypi ~ $ grep "NET_CLS_ACT" kernel.config
6CONFIG_NET_CLS_ACT=y
7
8pi@raspberrypi ~ $

質問者さんのケースでは、組み込まれていない場合にtcコマンド実行時にエラーになっても良さそうなものですが、そのあたりの事情は分かりません。カーネルコンフィグレーションが私と同等だったのであれば原因はまた別のところにあるでしょうし、同じでなかったならば、ご自分でLinuxカーネルのリビルドをする必要があるかもしれません。そもそも、上記が絶対に関係しているとは限りませんが、以上、ご参考までの回答でした。

投稿2019/11/15 02:39

dodox86

総合スコア9256

tea9

2019/11/15 23:31

dodox86様、ご回答いただき、ありがとうございます！親切なご説明感謝いたします。勉強になります。以下の通り、私の使用環境においても組み込まれていることが確認できました。 $ grep "NET_CLS_ACT" kernel.config CONFIG_NET_CLS_ACT=y 今一度原因を探してみます...

dodox86

2019/11/15 23:53

ご報告ありがとうございます。一応の確認なのですが、オプションで指定しているように、eth0インターフェース(有線LAN)を使っての通信なのですよね。無線LAN、あるいは別のネットワークインターフェイスを通っていたら、効かないはずですので。

tea9

2019/11/16 05:18

dodox86様、ご回答ありがとうございます。お騒がせいたしました...。（お恥ずかしい限りです）私が使用していたのは「無線LAN」であるにも拘わらず「eth0」を指定しておりました。「wlan0」として同様に試したところ、期待する動作が得られました。親切なご回答、あらためて感謝いたします。ありがとうございました！

dodox86

2019/11/16 05:51

をを、良かったです。:-)

行動規範の内容に同意します