こんにちは。
C++では、
C++
1func(std::vector<int>()); // ①
と
C++
1std::vector<int> vec;
2func(vec); // ②
では、同じように見えてかなり異なる意味付けがなされています。
前者は、式のように見えませんが実は式を渡しています。後者は変数を渡しています。
式と変数の大きな差は、ざっくり書くと(一部の例外を除き)結果が右辺値(値)か左辺値(容器)かの差です。
右辺値と左辺値の最大の差は、そこへ値を「代入」できるかどうかです。普通は右辺値に値を代入することはできませんが、左辺値は普通に値を代入できます。(a=a+123;
において a は左辺値、a+123の計算結果は右辺値です。)
関数の仮引数はコピー渡しなら右辺値、左辺値共に受け取れます。ご提示されているfoo()関数はご存知のようにコピー渡しですから、上記の前者・後者どちらとも受け取れます。ただし、コピー渡しですから当然コピーが発生します。int型等の小さな変数を引き渡す時に好ましい渡し方です。
さて、大きな変数を渡す時はコピーのコストを嫌うため参照渡しが好まれます。この時に右辺値、左辺値が問題になります。
ノーマルな参照型の仮引数は左辺値しか受け取れません。
constな参照型の仮引数は左辺値、右辺値共に受け取れますが、constですので内容を変更できません。
右辺値参照型の仮引数は右辺値を受け取れ内容も変更できますが、左辺値を受け取れません。(右辺値は式の計算結果ですのでその内容を変更しても意味はないので内容を変更する目的で使われることはあまりなさそうです。)
C++
1void foo0(std::vector<int>& vec) { } // ノーマルな参照渡し
2void foo1(std::vector<int>const & vec) { } // constな参照渡し
3void foo2(std::vector<int>&& vec) { } // 右辺値参照渡し
整数型等の小さな変数を渡す時は、foo の形式がよく使われます。
大きな変数を渡すだけの時は foo1 の形式が良く思います。
渡された引数を加工した時は、foo0が良く使われます。
foo2は比較的最近(といっても2011年ですが)使えるようになった使い方です。
あまり頻繁には使いませんがリソースの所有権を移動したい際に便利です。身近な例ではstd::unique_ptr
でしょう。
エラーが出るわけではないですが,このような書き方はやめた方が良いのでしょうか.
fooの形式ではコピーが発生しますので、std::vector等の巨大になりうる変数を渡す時にはあまり使われません。その意味で避けた方が好ましいと思います。
さて、ベターCとしてC++を使っている人は foo0 の形式を使う場合が多いと思います。この時①の渡し方ができません。
C++のちょっと深い部分を使い始めた方は foo1 の形式を使う場合が多いと思います。これは②の渡し方もできますが、どちらかというと「渡された変数の内容を変更しませんよ」という意味を込めて使うので②のケースを見かけることは少ないかもしれませんが、普通に使って問題ないです。
foo2 は歴史も浅いですし、最近出現したということは使う場面も多くはない(もし非常に多いならもっと初期に出現している筈)ので、あまり見かけなくても不思議ではありません。
追記
vec2は構文は合ってますが、意図とは合っていないと思います。
これはstd::vector<int>
を返却する関数vec2()
の前方参照宣言と解釈されます。