RustでStringに文字列を二個以上追記したいがﾐｭｰﾀﾌﾞﾙな参照を二つ作れないためエラーになる。

Question

pub fn replace(mut text: String, from: usize, to: usize) -> String {
    text = text[..from].to_string();
    text.push_str(&mut text[from..from + 1]);
    text.push_str(&mut text[to..]);
    text
}

上記の渡された文字列textのfrom番目にある文字をto番目と置き換える関数を作っているんですが以下のようなエラーが出て困っています。

cannot borrow `text` as mutable more than once at a time
second mutable borrow occurs here

二つミュータブルな参照を作ることはできないのはわかるのですが&mut text[ ... を&text[ ...にするとミュータブルとして扱えないというようなエラーが出てしまいます。
どうすればよいでしょうか？
誰か教えてほしいです。

Answer 1

引数は参照専用にして、置き換え結果は返り値として得るのが簡便です。なお、参照にはStringではなく&strを使う方が、関数の応用範囲が広がるため好ましいです。

どうしても、引数をインラインで変更したければ、関数内で一度tmp変数に文字列をコピーして、それを参照しつつ、引数のtextをゼロから組み立てるべきでしょう。

pub fn replace(text: &str, from: usize, to: usize) -> String {
    let mut res = text[..from].to_string();
    res.push_str(&text[to..to + 1]);
    res.push_str(&text[from + 1..to]);
    res.push_str(&text[from..from + 1]);
    res.push_str(&text[to + 1..]);
    res
}

fn main() {
    let s = replace("abcdefg", 2, 5);
    println!("{}", s);  //abfdecg
}

Answer 2

Stringに文字列を二個以上追記したい

上の質問の直接の答えではないのですが、「渡された文字列textのfrom番目にある文字をto番目と置き換える」のなら、slice型のswapメソッドを使うこともできます。

また、ご質問のようなスライスを使用したコードですと、文字列が英数文字だけのときは正しく動きますが、平仮名や漢字のような文字が含まれているとpanicするという問題があります。

まず、panicについて説明して、次にswapメソッドについて説明します。

Stringと&strでは内部データー表現としてUTF-8エンコーディングを使用しています。UTF-8では、たとえば"a"は[0x61_u8]の1バイトで表現されますが、"あ"は[0xE3_u8, 0x81, 0x82]の3バイトで表現されます。そして、&text[..from]のように&strからスライスを作るときは、インデックスとして「何文字目」ではなくて、「UTF-8バイト列の何バイト目」という意味になります。もし開始・終了インデックスのどちらかがUTF-8の文字の境目から外れているとpanicします。

// panicするコードの例
fn main() {
    // "あ" は [0xE3_u8, 0x81, 0x82] の3バイト
    let text = "あいう".to_string();
    // 0バイト目だけを含むスライスを作成する
    let mut res = &text[..1].to_string();
}

thread 'main' panicked at 'byte index 1 is not a char boundary;
it is inside 'あ' (bytes 0..3) of `あいう`'

もしreplace関数が英数字だけを扱うのなら、ご質問のコードのようなやり方で問題ありません。しかし、それ以外の文字も扱う必要があるのなら別の方法を使うことになります。

いちばん確実な方法は&strをいったんVec<char>に変換することです。これにより、スライスのインデックス指定が、UTF-8の何バイト目ではなくて、何文字目（何個目のchar）という意味になります。

fn main() {
    let text = "あいう".to_string();
    // &strからVec<char>へ変換する
    let mut chars: Vec<_> = text.chars().collect();
    // Vec<char>のスライスからStringへ変換する
    let mut res: String = chars[..1].iter().collect();
    println!("{}", res); // あ
}

ただし、この方法ですと&strからVec<char>への変換とVec<char>からStringへの変換が必要になるので、実行時の効率は良くありません。

&str::charの代わりに&str::char_indicesを使うともっと効率がよくなりますが、コードは少し複雑になります。（コード例は省略します）

• https://doc.rust-lang.org/stable/std/primitive.str.html#method.char_indices

次にswapメソッドについて説明します。

slice型のswapメソッドは可変スライスのfrom番目にある要素をto番目と置き換えます。（ドキュメント）

これをchars()とあわせて使うと、replaceの実装は以下のようになります。

pub fn replace(text: &str, from: usize, to: usize) -> String {
    // &str型からVec<char>型へ変換する
    let mut chars: Vec<_> = text.chars().collect();
    // from番目の文字とto番目を交換する
    chars.swap(from, to);
    // Vec<char>型からStringへ変換する
    chars.into_iter().collect()
}

fn main() {
    let s = replace("あいう", 0, 2);
    assert_eq!(s, "ういあ");
}

また、もしreplace関数が英数字だけを扱うのなら、asciiクレートを使うのがおすすめです。

// Cargo.tomlに以下を追加する
// [dependencies]
// ascii = "1.0"

use ascii::{AsAsciiStr, AsciiStr, AsciiString};

// &AsciiStr型は&str型に相当するが、文字列が1バイトのASCIIコードで表される
// 英数字記号だけで構成されていることを保証する
// AsciiString型はString型に相当する
pub fn replace(text: &AsciiStr, from: usize, to: usize) -> AsciiString {
    // &AsciiStr型からAsciiString型へ変換する
    let mut res = AsciiString::from(text);
    // 可変スライスを取得しswapで交換する
    res.as_mut_slice().swap(from, to);
    res
}

fn main() {
    // s0は&AsciiStr型。"abcdefg"は全て1バイトのASCIIコードで表せるので
    // as_ascii_strは成功する。
    let s0 = "abcdefg".as_ascii_str().unwrap();
    let s = replace(s0, 2, 5);
    assert_eq!(s, "abfdecg");

    // "あいう"は1バイトのASCIIコードで表せないので&AsciiStrを作ろうとすると
    // エラーになる
    assert!("あいう".as_ascii_str().is_err());
}

Comments

[tasuren]

おお、こういうのもあるんですね。
ありがとうございます。