TypescriptでRecord<string, unknown>を引数にとる関数にinterfaceで型つけしたオブジェクトを渡せないのはなぜでしょうか。

Question

知りたいこと

TypescriptでRecord<string, unknown>を引数にとる関数にinterfaceで型付けしたオブジェクトを渡そうとするとエラーになるのですが、その理由を知りたいです。
Type Aliasで型付けすると渡せるので、interfaceとType Aliasの挙動の違いに原因があるのかと思ったのですが、調べても原因を見つけられなかったので、、ご教授いただけると幸いです。

エラーとなるコード

インデックスシグネチャがinterfaceで型付けしたオブジェクトにはありませんといったエラーがでます。

const func = <T extends Record<string, unknown>>(obj: T) => obj

interface Target {
  hoge: string
}

const target: Target = {
  hoge: "hoge"
}

// Argument of type 'Target' is not assignable to parameter of type 'Record<string, unknown>'.
// Index signature is missing in type 'Target'
func(target)

Type Aliasで型付けするとエラーになりません。

const func = <T extends Record<string, unknown>>(obj: T) => obj

type Target = {
  hoge: string
}

const target: Target = {
  hoge: "hoge"
}

// OK
func(target)

interfaceのインデックスの型をstringとしてあげると問題ないようです。

const func = <T extends Record<string, unknown>>(obj: T) => obj

// indexをstringと定義
interface Target {
  [index: string]: string
}

const target: Target = {
  hoge: "hoge"
}

// OK
func(target)

補足情報

typescriptのバージョンは4.1.3です。

Answer 1

Record型はインデックスシグネチャの型を作ります。例えばRecord<string, string>ならば{[x: string]: string}です。

interfaceはインデックスシグネチャ型に割り当てることはできませんが、type aliasは割り当てることができます。type aliasは型安全をいくらか犠牲にして暗黙的にインデックスシグネチャ型を推論することで、利便性を提供しているのだと考えています。

これは設計上意図してそうなっており、長い間議論されてます。
https://github.com/microsoft/TypeScript/issues/15300

*追記

もともとは{ [key: string]: unknown }は、{ [key: string]: any }と同じく、何でもアサインできるという特別な性質を持つ型でした。質問者さんのおっしゃるとおり、型を判別してから値を使えば良いのでこれで問題はありませんでした。

しかし、v3.5でジェネリクスパラメータに破壊的変更が入りました。これの影響を受けて、この性質が削除されます。

v3.4以前では、ジェネリクスパラメータのフォールバック(どの型にも当てはまらないときの代替の型)は{}でした。これだとランタイムのエラーが補足できないケースがあったため、unknownに変更されました。

つまり、現在は以下のコードではkはunknown型です。

function parse<T>(x: string): T {
    return JSON.parse(x);
}

// k has type 'unknown' - previously, it was '{}'.
const k = parse("..."); // unknown

v3.5からは、{ [key: string]: T }は、フォールバックとして暗黙的に{ [key: string]: unknown }という型を持つようになったというわけです。

これだと「{ [key: string]: unknown }は何でもアサインできる」という性質によって、以前はエラーが発見できていたのに、エラーが発見できないケース(リグレッション)が生まれてしまうため、なんとか避ける必要がでてきました。しかも暗黙的な型宣言なので多く混乱を生むことでしょう。

例えば以下のケースです:

declare function someFunc(): void;
declare function fn<T>(arg: { [k: string]: T }): void; // {[k: string]: unknown} というフォールバック
fn(someFunc); // {[k: string]: unknown} が何でもアサインできるという特別な性質がある場合、型エラーが検出できない

そのため{ [key: string]: unknown }に関しては「何でもアサインできる」という特別な性質が削除されたという経緯があるようです。

Comments

[swirlies]

リンク先大変参考になりました！（翻訳かけてなんとなくでおっかけるレベルでしたが。。）
大分前から議論されていた内容だったのですね。勉強不足でした、、ありがとうございます！
ただ、まだなぜエラーになるのか理解できていません。。
プロパティの型をunknownとしているので、型を特定できるまではプロパティを使用できないので安全なのではと思ったのですが。。どういった危険性があるのでしょうか。。
また、Record<string, any>が通るというのでさらに混乱してしまいました。。

[uraway_]

Record<string, any>とRecord<string, unknown>の違いについて解説を追記しました。
下記参考になるかと思います
https://github.com/Microsoft/TypeScript/wiki/Breaking-Changes#generic-type-parameters-are-implicitly-constrained-to-unknown

[swirlies]

丁寧なご回答ありがとうございます！
大変参考になりました。