1行だけのlockはdead lockしないのはなぜ

Question

次のコードがdead lockしない理由が分かりません。

use std::sync::Mutex;

fn main() {
    let x = Mutex::new(0usize);
    
    // does'nt deadlock
    *x.lock().unwrap() = 1;    
    
    let y = x.lock().unwrap();
    println!("{}", y);
}

次のようにxへの書き込みを2行に分けると期待通りdeadlockします。

use std::sync::Mutex;

fn main() {
    let x = Mutex::new(0usize);
    
    // deadlock 
    let mut a = x.lock().unwrap();
    *a = 1;
    
    let y = x.lock().unwrap();
    println!("{}", y);
}

別の変数を用意せずに1行だけ使う場合はMutexGuardがdropされる仕様なのかなと推測しているのですが、該当する情報ソースが見つからず質問させていただきました。

Answer 1

lock が返すのは LockResult<MutexGuard<'_, T>> 型です。 MutexGuard がロックを表現する値です。 この値が「存在している間」がロックされる期間です。

言い換えるなら MutexGuard は Drop が実装されていて、 drop の中でドロップを解除するようになっているということです。

Rust では式が返す値を変数に入れなかった場合には原則としてそれを囲むステートメントが終わった時点で破棄されます。 つまりこの場合で言えば *x.lock().unwrap() = 1; という一行が終わったときが MutexGuard の破棄タイミングであり、ロックの解除タイミングでもあるわけです。

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[qope]

ご回答ありがとうございました。

Answer 2

Rustにおいて、変数はほかの多くの言語同様にスコープの最後まで生き残り続けます。

上のコードでは、一度目の変更にあたって変数を作っておらず、ロックはその場で生成され消滅します。
そのため、二度目の変更の際に問題なくロックを行うことができます。

一方で下のコードでは変数にロックが束縛され、スコープの最後まで生き続けます。
そのため、二度目の変更の際にはMutexはすでにロックされており、新たなロックを取得できずデッドロックします。

Comments

[qope]

ご回答ありがとうございました。これまで`lock()`を使う際はdeadlockを防ぐために{}で括っていたのですが、1行だけの場合は不要と考えて良いのでしょうか？それとも1行だけでも念のため{}で括った方が良かったりしますか？

[equal-l2]

一般的なコード規約では波かっこを禁止するルールはないようなので、わかりやすいようにすればよいと思います。

[qope]

参考になります。ありがとうございました