Rustの借用変数を関数に渡したときの動作

Question

質問内容

下記コードの動作においてなぜコンパイルが通るのかがわかりません。
自分が考えている動作の流れとしましては、
0. 10が変数xに束縛される。
0. xの可変借用がyに束縛される。
0. yの所有権がadd関数の引数xに移動する。
0. 二回目のadd関数でエラーが起きる。

と予想していました。
どのような動作がここで行われているかご教授いただきたいと思いまして質問させていただきます。
よろしくおねがいします。

該当のソースコード

fn add(x: &mut i32) {
    *x += 10;
}

fn main() {
    let mut x = 10;
    let y = &mut x;

    add(y);
    add(y);
    println!("{}", x);
}

Answer 1

Rustは参照の使用時に**再借用(reborrow)**を暗黙に挿入することがあります．
質問のコードの場合は可変参照yを関数addに渡すときに再借用が行われており，Rustコンパイラは以下のコードが記述されたかのように借用検査を行っています．

fn main() {
    let mut x = 10;
    let y = &mut x;

    add(&mut *y); // yから再借用したテンポラリの可変参照を渡している
    add(&mut *y); // 同上
    println!("{}", x);
}

つまり，可変参照yをそのまま渡すのではなく，yから一時的な可変参照を新たに生成してそれを渡しています．これによって，あたかも可変参照を再利用しているかのようにプログラムを記述することができます（&mut selfを受け取るメソッドを呼び出すたびに(&mut *self).f()と記述するのは大変です！）．

残念ながら現状再借用に関する公式のドキュメントは無いようですが，それについてのIssueでは再借用についての説明がいくつかリンクされています．

Comments

[Romira]

回答ありがとうございます。
そのようなことが行われていたのですね

Answer 2

add関数にyの所有権は移動していません。
add関数は可変参照で受け取っています。