Python classのイニタリゼイション内のself.とは

Question

>>> class Complex:
...     def __init__(self, realpart, imagpart):
...         self.r = realpart  #1
...         self.i = imagpart  #2
...
>>> x = Complex(3.0, -4.5)
>>> x.r, x.i
(3.0, -4.5)

#1,#2はどのような処理をしているのでしょうか？

__init__の引数のrealpartとimagpartにself.r,self.iという名前を付けているという理解であっていますか？

Answer 1

以下のように、辞書型変数に代入する処理は理解できますか？

>>> x = {}
>>> x['r'] = 3.0
>>> x['l'] = -4.5
>>> x
{'r': 3.0, 'l': -4.5}

更に、関数を定義して値を代入する処理は理解できますか？

>>> def init(self, realpart, imagpart):
...     self['r'] = realpart
...     self['l'] = imagpart
...
>>> x = {}
>>> init(x, 3.0, -4.5)
>>> x
{'r': 3.0, 'l': -4.5}

クラスを定義してインスタンス生成すると、ドットと名前で値を代入できるようになります。

>>> class Complex:
...     pass
...
>>> x = Complex()
>>> x.r = 3.0
>>> x.l = -4.5
>>> vars(x)
{'r': 3.0, 'l': -4.5}

関数で代入することもできます。

>>> class Complex:
...     pass
...
>>> def init(self, realpart, imagpart):
...     self.r = realpart
...     self.l = imagpart
...
>>> x = Complex()
>>> init(x, 3.0, -4.5)
>>> vars(x)
{'r': 3.0, 'l': -4.5}

init関数をクラスの中に書くこともできて、クラス名.関数名で呼び出すことができます。

>>> class Complex:
...     def init(self, realpart, imagpart):
...         self.r = realpart
...         self.l = imagpart
...
>>> x = Complex()
>>> Complex.init(x, 3.0, -4.5)
>>> vars(x)
{'r': 3.0, 'l': -4.5}

init関数を __init__という初期化メソッドにすることで、インスタンス生成と同時に代入できるようになります。self引数にはインスタンスが自動的に渡されます。

>>> class Complex:
...     def __init__(self, realpart, imagpart):
...         self.r = realpart
...         self.l = imagpart
...
>>> x = Complex(3.0, -4.5)
>>> vars(x)
{'r': 3.0, 'l': -4.5}

処理順序を図にしてみました。

]

Comments

[kazulztk]

>>> class Complex:
... def __init__(self, realpart, imagpart):
... self.r = realpart　　#1
... self.l = imagpart #2
...
>>> x = Complex(3.0, -4.5) #3
>>> vars(x)
{'r': 3.0, 'l': -4.5}

#1,#2はinitの引数(self, realpart, imagpart)ということはわかりました
では、self.r self.lとは何を指しているのですか？
#3の3.0,-4.5という値が代入されているのでしょうか？

もしそうならば、なぜ#1,#2のように書くのですか？

[shiracamus]

Complex は虚数という意味です。
虚数は実数部と仮数部から成ります。
#3 で渡した 3.0 と -4.5 という値を、インスタンスselfの中の変数名 r に 実数部の値 3.0 を、変数名 l に虚数部の値 -4.5 を記憶しています。
なぜ変数名を r と l にしたのかは、作者に聞いてみないとわかりません。

なお、Pythonは標準でcomplex型があるので、Complexクラスを自作する必要はないんですけどね。
>>> value = 3.0-4.5j
>>> value.real
3.0
>>> value.imag
-4.5

[kazulztk]

なぜ、realpartと imagpartに直接入れずにself.とするのでしょうか
何度もすみません

[shiracamus]

realpart と imagepart は __init__メソッドの引数です。realpartに3.0が、imagpartに-4.5が代入された状態で処理が始まります。
メソッドの処理が終わると、realpart引数および imagpart引数は破棄されて値が残りません。
self 引数には「インスタンス」というメモリ領域が渡されます。self.r と self.l に引数の値を代入して、初期化メソッド終了後にも値を使えるようにしています。
インスタンスは変数 x に代入されていますので、self と x は同一のインスタンスです。
self.r に代入した値は x.r で参照でき、self.l に代入した値は x.l で参照できます。

[shiracamus]

クラス定義、クラスを呼び出してインスタンス生成と初期化する処理を図にして回答欄の最後に追記しました。
図をクリックすると拡大表示されます。
番号順に処理を追ってみてください。

[kazulztk]

理解できました！
本当にありがとうございます

Answer 2

initの引数のrealpartとimagpartにself.r,self.iという名前を付けているという理解であっていますか？

違います。

Pythonのインスタンスメソッドは呼び出し時に第一引数にインスタンス自身が渡されるように変換されます。また、Pythonのオブジェクトは基本的には属性を動的に追加できます。その仕組みを使ってインスタンスの属性rとiにコンストラクタの引数として受け取った値を代入しています。