オーバーロードしたインクリメント演算子の返り値の型について

疑問

最近C++を学び始めた者です。インクリメント演算子のオーバーロードについて質問があります。前置インクリメントと後置インクリメントで返り値の型が異なるように書くのはなぜでしょうか。

コードを以下に示します。

該当のソースコード

cpp
1class Point
2{
3public:
4   // Declare prefix and postfix increment operators.
5   Point& operator++();       // Prefix increment operator.
6   Point operator++(int);     // Postfix increment operator.
7private:
8   int _x, _y;
9};
10
11// Define prefix increment operator.
12Point& Point::operator++()
13{
14   _x++;
15   _y++;
16   return *this;
17}
18
19// Define postfix increment operator.
20Point Point::operator++(int)
21{
22   Point temp = *this;
23   ++*this;
24   return temp;
25}

コードは以下のサイトからの抜粋です。

インクリメント演算子とデクリメント演算子のオーバーロード (C++) | Microsoft Docs

前置の場合は返り値が参照型ですが後置の場合はそうなっていないことが分かります。

試したこと

前置の返り値をクラスの型にした場合は何事もなくコンパイルできましたが、後置の返り値を参照型にしたところ以下のような警告メッセージが出ました。

inc.cpp: In member function 'Point& Point::operator++(int)':
inc.cpp:39:10: warning: reference to local variable 'temp' returned [-Wreturn-local-addr]     
    Point temp = *this;

まとめ

なぜ返り値を後置と前置で返り値を変えているのか
なぜ警告がでるのか

以上のことについてご教授くださるとうれしいです。

補足

使用したコンパイラ
gcc version 8.1.0 (x86_64-posix-seh-rev0, Built by MinGW-W64 project)

行動規範の内容に同意します

回答1件

ベストアンサー

エラーメッセージの意味は「ローカル変数の参照を返している」というものです。 temp の寿命は関数の終わりで終えてしまうので、寿命を終えている変数を参照するのは誤りだからです。このエラー自体は質問の内容にそれほど関係ありませんが。

返却値の型が値の場合と参照の場合で使い分けるのは、たとえば Point 型の変数 p があったとして p++ と書いたならこの式の評価値は「p をインクリメントする前の値」ですし p には「以前の p にインクリメントしたもの」が入っていなければなりません。インクリメント前後の値がどちらも必要となるので必然的にオブジェクトがコピーされなければならないのです。

++p の評価値は「以前の p にインクリメントしたもの」ですし p に入る値も「以前の p にインクリメントしたもの」なので、どちらも同じものです。なので参照で返すことが出来ます。

C から受け付いたプリミティブな型の評価規則と合わせると必然的にこうなるのです。もしやりたければ後置インクリメントで参照を返すことも前置インクリメントで新しい値を返すことも出来ますよ。ただ、一般的な挙動を逸脱してまであえてやりたいという強い動機がある場面というのはあまりないというだけのことです。

投稿2019/11/10 08:29