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誤字・脱字の修正

2017/09/17 22:40

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raccy
raccy

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  「グル」は、スゴイ技術力がある人、ということよりも、偉大な何かを作り出した人、と私は考えています。だからこそ、Linuxカーネルの生みの親であるLinus Torvaldsが「グル」と言われていることに納得します。日本人の「グル」はいるのかと言われれば、Rubyのパパであるまつもとゆきひろは「グル」だと私は思っています。
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- さて、松本さんがスゴイ腕前で、C++がばりばり書けるのか、というと、そうでも無いようです。もっというとCに関してすら、そうでも無いようです。松本さんが書いた初期のRubyは本当に遅く、Rubyのコア部分(インタプリンタの根幹をなす部分)は笹田耕一さんが書いたYARVに置き換わり、現在のRubyも笹田さんが中心になって書いているようです。
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+ さて、松本さんがスゴイ腕前で、C++がばりばり書けるのか、というと、そうでも無いようです。もっというとCに関してすら、そうでも無いようです。松本さんが書いた初期のRubyは本当に遅く、Rubyのコア部分(インタプリンタの根幹をなす部分)は笹田耕一さんが書いたYARVに置き換わり、現在のRubyのコアも笹田さんが中心になって書いているようです。
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- なんだ、まつもとゆきひろはたいしたことがないな、ということではありません。松本さんの言語そのものに対する知識や研究の度合いはかなり深い物があります。現在のRubyはコミュニティーでの合議で仕様が決まっていきますが、最後はMatzがそう言うならで決まっている場合も少ないようです。新しい言語を作ることは、その実装よりも、その設計の方が、遥かに重要で、遥かに難しいのです。
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+ なんだ、まつもとゆきひろはたいしたことがないな、ということではありません。松本さんの言語そのものに対する知識や研究の度合いはかなり深い物があります。現在のRubyはコミュニティーでの合議で仕様が決まっていきますが、最後はMatzがそう言うならで決まっている場合も少ないないようです。新しい言語を作ることは、その実装よりも、その設計の方が、遥かに重要で、遥かに難しいのです。
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  何を言いたいかというと、もし、「グル」と言われたいのであれば、何かを新たに作るしか無いと言うことです。どんなに技術力があっても、「グル」にはなれません。ただ、「グル」だからといってスゴイ技術力があるとかそういうことでもありません。ただ、面白いことに、リーナスさんや松本さんが「グル」になりたくてLinuxやRubyを作ったわけではありません。安価なx86でUNIXのプログラムを(高価なUNIXを買わずに)動かしかったから、純粋オブジェクト指向なPerlっぽい言語が欲しかったら、と、彼らは必要に迫られて、そして、それに興味があったから、作ったに過ぎないのです。「グル」はなろうとしてなれるものと言うより、自分が欲しいものを作ったら、いつの間にかみんな使ってくれて、「グル」になっていたと言うことだと思います。
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  さて、「ウィザード」はどれぐらいの人なのでしょうか。まずは、広くて深い知識です。ハードウェア(PNPやNPNと言ったトランジスタの基本的な事からトンネル効果によるリーク電流が流れる仕組みなどの半導体の物性はもちろんの事、UTPが撚線である理由や同軸ケーブルの光より遅い伝搬速度、HDDやCD等の仕組みと青色LEDを使ったBDがなぜ高密度が実現できるか、電波の周波数の違いによる干渉度合いや回折性、アルミなどの素材による熱伝導率の違い等)からソフトウェア(UEFI->OS->アプリというのはもちろんの事、言語だけでは無くてコンパイラ毎の特性、ライブラリやフレームワーク、古い時代から最新までのパラダイムやアルゴリズム等)といったコンピューター全般は当たり前のこと、計算科学を初めとした数学(チャーチ=チューリングのテーゼや圏論、暗号論等)や社会心理学(ソーシャルエンジニアリングには必須)等の学問も必要です。最先端の技術文書は全て英語ですので、英語が読めることは最低条件になります。
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- 知識だけがあってもそれを生かしきれなければ意味がありません。彼らの仕事は今まで誰もやってこなかったことを創造することです。といっても、既存の道具を使わないというわけでは無く、そのほとんどは、既にあるものの組合せに過ぎません。ただ、目的を達成するには何を組み合わせれば良いのか、そして新たな組合せによって何ができるようになるのか、そういったことをシミレートや実践を繰り返し、最適を探り出すのが彼らです。その組合せにこそ新しさがあり、彼らの仕事が「魔法」に変わるのです。
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+ 知識だけがあってもそれを生かしきれなければ意味がありません。彼らの仕事は今まで誰もやってこなかったことを創造することです。といっても、既存の道具を使わないというわけでは無く、そのほとんどは、既にあるものの組合せに過ぎません。ただ、目的を達成するには何を組み合わせれば良いのか、そして新たな組合せによって何ができるようになるのか、そういったことをシミレートや実践を繰り返し、最適を探り出すのが彼らです。その組合せにこそ新しさがあり、彼らの仕事が「魔法」に変わるのです。
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- 全くの未知の何かを作り出すのは研究者の仕事であり、彼らの仕事ではありません。彼らがやっていることは既存技術の応用にすぎません。と言っても、何を適用するかというのは本当に難しいことです。言ってみれば、数学の応用問題を解いていくようなものです。数学の応用問題は習った基本的な手法を使えば解くことができます。ですが、複数の手法の中から、最適なものを選び出し、かつ、組み合わせなければ解くことができません。そこには「この場合はこれをする」という決まり切ったマニュアルなんては無く、色んな事例や、これまでの知識から、一つ一つできそうなことを試していくしかいのです。
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+ 全くの未知の何かを作り出すのは研究者の仕事であり、彼らの仕事ではありません。彼らがやっていることは既存技術の応用にすぎません。と言っても、何を適用するかというのは本当に難しいことです。言ってみれば、数学の応用問題を解いていくようなものです。数学の応用問題は既に習った基本的な手法を使えば解くことができます。ですが、複数の手法の中から、最適なものを選び出し、かつ、適切に組み合わせなければ解くことができません。そこには「この場合はこれをする」という決まり切ったマニュアルなんてものは無く、色んな事例や、これまでの知識から、一つ一つできそうなことを試していくしかいのです。
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  知識については、誰でも詰め込めば、それなりに身に付きます。しかし、応用力となると才能と言うより勘やセンスの問題になります。頑張れば、センター試験レベルの数学は(私は取れませんでしたが)誰でも満点がとれるようになれますが、国立大学二次試験レベルの数学になると勉強だけでは補いきれない壁があると私は思っています。「ウィザード」に求められる応用力もそれと同じだと思います。そういった応用力は、単なる努力では身に付かず、人格や世界の見方すら変わるような発想の転換みたいなものが訪れない限り、後から身に付くことは無理だと思います。
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