Rustの「コンパイル時にサイズが分からない」の意味がわかりません

Question

Rustのドキュメントや書籍で頻発する、「コンパイル時にサイズが分からない」という単語の意味がよくわかりません。

例えば、以下のコードです。

fn main() {
    let byte_array = [b'h', b'e', b'l', b'l', b'o'];
}

fn print(s: [u8]) {
    println!("{:?}", s);
}

error[E0277]: the size for values of type `[u8]` cannot be known at compilation time
 --> src/main.rs:5:10
  |
5 | fn print(s: [u8]) {
  |          ^ doesn't have a size known at compile-time
  |
  = help: the trait `Sized` is not implemented for `[u8]`
  = help: unsized locals are gated as an unstable feature
help: function arguments must have a statically known size, borrowed types always have a known size

エラーの通り、「コンパイル時にサイズが分からない」とのことですが。。

例えば、今回のコードでは、要素数が5つのバイナリの配列をハードコードしてるわけですが、これはコンパイル時に「要素数5の配列だ」と、コンパイラが理解できない何か理由があるのでしょうか。それとも、私が根本的にRustのコンパイラの動きを理解できていないのでしょうか。
どなたかご教授ください。

Answer 1

まず、エラーメッセージの見方が間違っていて、エラーの原因になっているのは長さ5の配列を作っているところではなく、 [u8] という型を関数の引数にしている部分ですね。

安定版のRustでは、関数の引数のメモリ上でのサイズは常に一定でないといけません。
[u8] は長さが0バイト、1バイト、5バイトと変わり得るので、 [u8] は関数の引数に使用することはできません。
普通は、関数の引数を &[u8] （スライス）にすることで配列の全体/一部への参照を取得して渡す形にします。

なお、今回の場合では、コンパイラが長さ5の配列であるかどうかを自動判定するかどうかはエラーが出ることと関係がありません。
長さ5の u8 の配列の型は [u8; 5] という型であり、 [u8] ではありません。
Rustのコンパイラは byte_array 変数が [u8; 5] という型であることを型推論しています。
しかし、それを関数に渡せるかの判定をする以前の問題として、 fn print(s: [u8]) { ... } という関数宣言自体が不正です。
したがって、 byte_array が [u8; 5] であり [u8] ではないので型が一致していないというエラーが出る前に、 the size for values of type [u8] cannot be known at compilation time のエラーになります。

Answer 2

print関数が[u8]のサイズを理解していません。配列を引数とする時はサイズを与える必要があります。

fn print(s: &[u8]) {
    println!("{:?}", s);
}

のように&[u8]として配列の参照を引数とすることでコンパイルできます。