teratail Report vol.7

2018/02/21

高精度で高性能!日本発AI「Zinrai」のホントのところ

高精度で高性能!日本発AI「Zinrai」のホントのところ

こんにちは。teratail Report編集部です。

“teratail Report”は、エンジニア一人一人の中に隠れている「貴重な情報」を、日本中のエンジニアに届けていくメディアです。技術の最前線を走るエンジニアたちの「考え方・捉え方・経験や思想」には、オンライン上には出てこない「貴重な情報」がたくさん隠れています。teratail Reportは、実際にエンジニアに接し、その根幹を明らかにしていきます。

第7回の今回は、富士通のAI技術「FUJITSU Human Centric AI Zinrai(ジンライ)」(以下、Zinrai)にフォーカス。音声テキスト化や自然文解析など様々な機能を備えたAPI、高パフォーマンスな環境ですぐに使えるディープラーニングなどを提供するZinraiの使用感やユースケースを実際に利用したエンジニアの皆様に伺ってきました!Zinraiは世界を疾風迅雷に変革することができるのか、最新サービスの「ホントのところ」必見です。

てづか やすお手塚 康夫

株式会社ジェナ 代表取締役

慶応大学環境情報学部在学中より複数のモバイル関連ベンチャーに参画、2006年に株式会社ジェナを設立。 創業時より法人向けのモバイル事業を展開、近年ではAI/IoTなどの新しいテクノロジーを活用したアプリ開発も手がけ、最新技術の研究や先端事例の創出に取り組む。

せきもと まさひろ関本 正光

株式会社TOKAIコミュニケーションズ

2013年TOKAIコミュニケーションズに新卒入社。修士(工学)学生時代はグラフ理論上の問題に対する近似アルゴリズムを研究。 入社以降は、SharePointなどMicrosoft系のWebアプリケーション開発を経験し、2017年から人工知能を用いたソリューションのPoC業務や検証に従事。

かわむら ようへい河村 遥平

株式会社TOKAIコミュニケーションズ

2015年TOKAIコミュニケーションズに新卒入社。昨年3月までWebアプリケーション開発に携わり、4月に現部署に異動。現在は、AI分野の調査や開発に取り組む。

これから必須になる「AI」についての共同研究

── 本日は2社の方にきていただきましたが、皆様どういったご関係なんでしょうか?

ジェナ・手塚 康夫氏(以下、手塚)TOKAIコミュニケーションズのエンジニアの方たちとは、ジェナ主催のAIに関する勉強会で知り合いました。勉強会で「AIとは」という基本的なところから、TensorFlowの英語版のオリジナルのサイトを一行ずつ読み解いたり、AI関連サービスを研究、検証したりしていたところ、「Zinraiについて一緒に試してみよう」となり活動を共にしていました。

── なぜAIの研究を?

手塚当社では200社以上のお客様に、これまで1000以上のアプリを開発・提供してきました。その開発の中では、AI・IoT・ロボットといった分野の最新技術について正しい理解が求められます。これまでもAIを用いたアプリ開発や概念実証をしてきました。

TOKAIコミュニケーションズ・関本 正光氏(以下、関本)当社は情報通信系の事業会社ですが、AIはまだ専門的に取り組めていない領域だったため、AIの勉強会に参加していました。そこで、ジェナさんに声をかけてもらい、一緒にZinraiを検証してみることになりました。

ZinraiのAPIとディープラーニング

── Zinraiにはいくつかサービスがありますが、今回はどんな機能を試されたのでしょうか?

手塚今回はZinraiプラットフォームサービスの中の、業務システムに組み込んで利用できる「基本API」「目的別API」、ディープラーニングの基盤となる環境を提供する「Zinraiディープラーニング」を試しました。

「基本API」では汎用的に利用することができる音声テキスト化や自然文解析、「目的別API」では利用シーンごとに組み合わせられる需要予測を使ってみました。

基本APIと目的別APIの一覧
- 基本APIと目的別APIの一覧 -

世界最速クラスのディープラーニング基盤が提供されるZinraiディープラーニングでは、対話型学習とバッチ型学習が利用でき、今回は両方の機能を試しました。

Zinraiディープラーニングの構造
- Zinraiディープラーニングの構造 -

日本特有の固有名詞や住所に強み、ZinraiのAPI

── 大きく分けると2つのサービスがあるんですね。APIは実際に試してみてどうでしたか?

TOKAIコミュニケーションズ・河村 遥平氏(以下、河村)私はZinrai以外にも普段から他の機械学習やAPIサービスを試しているのですが、海外大規模サービスなどに遜色ない性能だと感じました。

まず大きな特長でいうと日本固有の名詞や住所などの認識に強みがあることが挙げられますね。基本APIの音声認識では、海外系サービスだと誤認識が起こりやすい住所の「丁目、番地、号」などは、日本人の認識するとおり「○ - ○ - ○」といったハイフン表記にしてくれます。独特な読み方をする地名の認識も精度が高いです。

音声認識の検証内容。日本固有の認識精度が特に高いという結果となった。
- 音声認識の検証内容。日本固有の認識精度が特に高いという結果となった。 -

自然文解析は他社のサービスで似た機能の提供はなかったので、面白かったですね。地名・座標推定処理では、文章中の地名や座標などの内容を分類してタグ付けをしてくれます。文脈を読み取ってくれるので、例えば「宮崎出身の宮崎さん」などは地名と人名を区別できるんですよ。

自然文解析APIを利用したチャットボットのデモを作成
- 自然文解析APIを利用したチャットボットのデモを作成 -

学習用データも、従来のテキスト形式のデータがあれば容易に作成できます。今回は文章分類の機能を利用してチャットボットのデモを作成してみましたが、精度に問題なくサービスに組み込めそうでした。

テキストデータでモデルを作成することができる
- テキストデータでモデルを作成することができる -

手塚文脈を理解してくれるので、ヘルプデスクや受付の自動応答に活用できそうです。ニーズが高い分野のため期待を持っています。

河村目的別APIの需要予測では設定ファイルと過去のデータさえあれば簡単に実現できて専門的な知識は必要ないので、かなり触りやすいという印象を持ちました。無料トライアルで高機能なモデルの作成を試せるので、ガンガン試してみてほしいです。

関本エクセルの分析ツールなんかだと、データ量が大きくなると設定できるパラメータが足りず分析しきれなくなってしまうんですよね。Zinraiの需要予測APIであれば、R、Pythonなどのプログラミング言語がわからなくても使えますし、手軽そうです。

予測はGUIで実行することができる
- 予測はGUIで実行することができる -

手塚受容予測の元となる過去のデータを持っていて、「まず統計化したい」というときにぴったりだと思います。

── 手軽に試せそうなAPIが豊富なんですね。日本製で日本語に強みがあるということで、他のサービスとは一味違う使用感を味わえそうです。

圧倒的なパフォーマンスを誇るZinraiディープラーニング

── ディープラーニング環境を提供するZinraiディープラーニングの使用感はどうでしょうか?

関本Zinraiディープラーニングでは、WebブラウザからGUI(グラフィカルユーザインタフェース)で利用できるバッチ型学習とCLI(コマンドラインインタフェース)で実行する対話型学習の、2つのディープラーニング環境を利用できます。

まずGUIで行うバッチ型学習ですが、ディープラーニング用のフレーム・ワーク「Caffe」とGUIで設定を行います。R、Pythonなどの専門的な言語を習得する必要がないので、とにかく簡便な印象を受けました。

GPUはなんとP100で、かなり高速に実行できます。共有GPUなのでGPUが空いている時に実行してくれるのですが、GPUの実行台数も選択でき、並列実行も可能です。

バッチ型学習の実行の流れ。パラメータの設定、学習、可視化などをGUIで行うことができる。
- バッチ型学習の実行の流れ。パラメータの設定、学習、可視化などをGUIで行うことができる。 -

手塚バッチ型学習は従量課金制なので、大規模なデータがあって、割と安価に始めたいというときに向いていると思いますね。今回の概念実証のように、当社と静岡のTOKAIコミュニケーションズ様との共同プロジェクトなど複数の場所で利用するときに統一された環境が整っているのも大きなメリットだと思います。

関本CLIで行う対話型学習では、Jupyter Notebookが用意されています。P100を専有利用できる環境がすぐに手に入るので、本当にすごいです。こんなにリーズナブルにP100を使い始められるのは驚きです。ハイエンドの中のハイエンドという印象ですね。ちょっと試してみるだけで何十倍も速いことを実感できますよ。P100を試したあとに自分の手元にある最新のPCなんかで実行すると「遅いなあ」という気持ちになってしまいます(笑)

月単位で専有でき、自分の都合のいいようにカスタマイズできます。

手塚専有で環境を利用できるので、短期間で概念実証を繰り返したいときに向いていると思います。バッチ型と対話型で利用シーンに合わせた方を選べるのがいいですよね。

── ハイエンドな環境を簡便に使えることに魅力がありそうです。利用オプションがあって使いやすそうですね!

日本発AIサービスの盛り上がりにますますの期待

── これからのZinraiにどんなことを期待していますか?

河村日本発のサービスのため当然ですが、日本語ドキュメントが用意されているのがかなり心理的なハードルが低いです。利用ユーザーがAIで成果を上げ、今以上に盛り上がって、事例や開発情報が増えていってほしいですね。また、APIサンプルや管理コンソールがもっと整うと使いやすさがぐっと増していくと思います。

手塚日本企業から提供されるため、サポート面はかなりしっかりした印象を持っています。海外サービスで散見する突然の仕様変更、なんて不安もなさそうですよね(笑)

関本情報が増えて、より魅力的なサービスになっていくことを期待しています。

── みなさま、ありがとうございました!

終わりに

高機能、高パフォーマンスな日本発サービスということで、今後の情報はどんどん増えていくと思います。ニーズの高まりに加え、ますます魅力的になる富士通のAI「Zinrai」に注目です!

■ FUJITSU Human Centric AI Zinrai の詳細はこちら