一旦ソースコードから離れて、アーキテクチャというか用語整理から行きましょう。
不明点キーワード:
・Jet Provider
・SQLserverへの接続文字列
・Current.Connection
・リンクテーブル
・OCDB接続
この辺に関することですが、話の都合で順番が入れ替わります。
また、説明の中で本来はもっと細かく分離されているもの等がありますが、用語が乱立して理解の妨げになる可能性がありますので、ウソにならない範囲で省きます。
DBとDBMS
- DB(DataBase)はデータそのもの
- DBMS(DataBase Management System)はデータベースを操作するための管理ツール
です。
.mdb /.accdb というファイルはDB、「Accessというアプリケーション」はDBMSです。
同様にSQLServerもDBとDBMSという構成になっています。
この回答内では.mdb/.accdb ファイルのDBのことを以降「AccessDB」と書きます。
DBへのインターフェイス
ODBC
本来、DBへのアクセスは、SQLServerはSQLServer用の、OracleにはOrale用の、MySQLはMySQL用の、というようにそれぞれごとにアクセスするための仕様が異なります。
これは開発者にとっての負荷が高く、利用するDBを変更することによるアプリケーションの修正範囲が膨大になるといったようなことが発生します。
ODBCは、
- 各種DBへのドライバ(ODBCドライバ)
- プログラムなどからのインターフェイス
と分離することにより、ODBCドライバを変更することによって利用するDBを変更する際の影響範囲を最小限にするための共通仕様です。
ADO
ADOもODBCと同様に、プログラムなどアプリケーションに対し各種DBへのインターフェイスを提供する仕様です。
- 各種DBへのドライバ(OLE DBプロバイダ)
- プログラムなどからのインターフェイス
と分離されています。
OLE DBプロバイダ
OLE DBプロバイダはODBCドライバと同様、各種DBそれぞれ用に提供されている必要があります。
しかし歴史的にODBCの方が古いこともあり、ODBCドライバは提供されているがOLE DBプロバイダは提供されていないDBというものもあります。
これらに対しMicrosoftは、「ODBCを利用するOLE DBプロバイダ」というものを利用することで、ADOに対するインターフェイスの共通化を図っています。
つまり、ADOにとってDBへのアクセス経路は
- ADO - OLE DBプロバイダ - DB
- ADO - OLE DBプロバイダ - ODBC - ODBCドライバ - DB
というパターンがあります。
不明なキーワード「Jet Provider」や、「接続文字列」で記載している「Provider」の部分はこのOLE DBプロバイダの指定です。
なお「Jet Provider」の正式名称は「OLE DB Provider for Microsoft Jet」です。
Accessの動作と接続文字列
AccessDBにおける「クエリ」は通常のDBで言う「ビュー」で、SQLを発行する意味での「クエリ」と紛らわしいので、AccessDBについてもビューといいます。
AccessというDBMSにはSQLServerなど外部のDBの一部機能を利用するための管理機能が含まれています。
それが、
SQLServerなど外部のDBへの参照を、あたかもAccessDB内のテーブルとして扱えるようにする仕組み
SQLServerなど外部のDBに対して直接問い合わせを発行するクエリを、AccessDB内のビューとして保存できる仕組み
などです。
これらの仕組みは、ODBCやOLE DBを利用して実現されています。
その際、AccessDBに保存されているのはSQLServerなど外部DBの「データそのもの」ではなく、接続の設定情報のみです(つまり参照)。
この設定情報を1つの字列で示したものが「接続文字列」です。
ADODB.Connectionオブジェクトの各プロパティを1つの文字列にしたものとなっています。
https://msdn.microsoft.com/ja-jp/library/cc426819.aspx は Jet の例ですが、参考になるかと思います。
「プロバイダ固有の」という方は接続先DBによって必要になる設定値の部分で、ADODB.ConnectionのPropertiesコレクションで設定できます。
学習のため、
- ADODB.ConnectionオブジェクトのConnectionStringプロパティに接続文字列を設定する
- ADODB.ConnectionオブジェクトのProviderプロパティの設定を確認する(Debug.Print ででも)
- 同様に各プロパティもしくは Propertiesコレクションの各要素名とその内容を確認してみる
といったことをしてみるといいかもしれません。
一旦ここまでの理解を正確にしてから先に進みましょう。
ソースコード部分
※エラー内容は、
実行時エラー’3265’
要求された名前、または序数に対応する項目がコレクションで見つかりません。
です。
テーブル名はあくまで "dbo_A" であり "[dbo_A]" ではないからではないでしょうか。
[]は主にSQL文内で利用される「区切り文字」なので、テーブル名に含めてはエラーになる気がします。
2016/05/24 10:45 のコメント以降の追記
私が現在コードに書いている内容(実現したいこと)として、
・strConnection(SQLserverへの接続文字列)を使用したい
・ですが、当該コード
With cat
Set .ActiveConnection = CurrentProject.Connection '←接続先がMSになります
With .Tables(strTblName)
.Properties("Jet OLEDB:Link Provider String") = strConnection 'Jetは、MSの接続プロバイダ
.Properties.Refresh
End With
End With
のように、「CurrentProject.Connection」「Jet Provider」を使用すると、MSに接続する
ロジックになり、本質問にあるように矛盾が生じるような気がします。
このソースの意味を取り違えているようですね。
このソースは、操作対象はあくまで「AccessDB」です。
AccessDB内に、リンクテーブル、というオブジェクトを作り出す、という処理をしています。
cat (ADOXのcatalogオブジェクト)は接続したDBのカタログ〈テーブルやビューの一覧〉を管理しているオブジェクトです。
With cat
Set .ActiveConnection = CurrentProject.Connection
catの接続先を CurrentProject.Connection (つまり開いているAccessDB)にする。
With .Tables(strTblName)
cat 内のテーブル:strTblName への操作(つまりAccessDBのテーブル)。
※ここで想定しているのは既にあるリンクテーブルの接続先変更なので、既存のリンクテーブルである必要がある。
.Properties("Jet OLEDB:Link Provider String") = strConnection
AccessDB内のリンクテーブル:strTblNameの .Properties("Jet OLEDB:Link Provider String")
つまり接続文字列を、新たに設定したい接続文字列に変更。
.Properties.Refresh
AccessDB内で変更を有効とするためにリフレッシュ(再読み込み)
End With
End With
という処理手順です。
操作対象はあくまでAccessDBですので、利用する接続はCurrentProjectですし、DB(プロバイダ)固有プロパティの名称は「Jet OLEDB:・・・」となります。
要点は「操作対象となっているDBが何か」です。
今回は扱っている内容がたまたまAccessDBからSQLServerへのリンクテーブルのため、その リンクテーブルの設定値 としてSQLServerの接続文字列が登場してきますが、ADO・ADOXのコード内で直接SQLServerを操作しているものではありません。
2016/05/24 17:14 のコメント以降の追記
AccessDB内のリンクテーブル:strTblNameの .Properties("Jet OLEDB:Link Provider String") つまり接続文字列を、新たに設定したい接続文字列に変更。
つまり、この更新プログラムにおいては、新たに更新したい接続文字列=既存のAccessDBのリンクテーブルへの接続文字列
という認識でよろしいでしょうか?
いえ、ちょっとこの例がよくないのかもしれないですが、この例の場合、例えば
- 開発用DBと本番用DBが同じ構成で存在し、
- 何らかの条件で(例えば開発用フラグのようなものを用意して)、そのフラグに応じて既に設定されているリンクテーブルの接続先DBを
- 開発用DB、本番用DBで切り替える
といった動作を想定しています。
そのため、例えば現在はリンクテーブルの接続先が本番用DBとなっている場合、その時点でのProperties("Jet OLEDB:Link Provider String")
は本番用DBへの接続文字列となっています。
これを、開発用DBへのリンクテーブルに書き換えるために、
Properties("Jet OLEDB:Link Provider String") = [開発用DBへの接続文字列]
と変更することで接続するDBの宛先を書き換えたことになり、その他の接続情報(リモートでのテーブル名など)は開発DBと本番DBの構成が一致していることにより変更不要で、リンクテーブルの参照先が切り替わります。
なお、AccessDBの既存のリンクテーブルはこのソース上では、
cat.Tables(strTblName)
で表されています。
- CatalogオブジェクトとしてAccessDBの構成情報が取得されており、
- その中のTablesコレクションのインデックスstrTblName で指定される Table オブジェクトの
- プロバイダ固有プロパティ "Jet OLEDB:Link Provider String" ( = cat.Tables(strTblName).Properties("Jet OLEDB:Link Provider String")) を書き換える
という処理です。
この辺はJavaの体験を活かしてコレクションやオブジェクト、プロパティを理解するとわかりやすいのではないでしょうか。
バッドをするには、ログインかつ
こちらの条件を満たす必要があります。
2016/05/23 07:16
2016/05/24 01:45
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2016/05/24 08:26 編集
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