浮動小数点には誤差があるからです。
当たり前ですが、2進数を使う計算機は小数も2進数で計算します。2進数の小数の基本は 1/2, 1/4, 1/8, 1/16, 1/32, ... つまり2のべき乗分の1です。その和で小数を表わすことです。たとえば2進数の 0.101 は 10進数だと
1/2 + 1/8 = 0.5 + 0.125 = 0.625
といった具合です。float や double は、このやり方を応用しています(が、これだけじゃないので正確な形式は調べること)。
では、2のべき乗分の1を、どう足し合わせたら10進数の0.1にちょうど等しくなるでしょうか。
10進数の 0.625 は2進数で 0.101 と表わすことができ、誤差はありません。しかし10進数の 0.1 は2進数だと循環小数になります(正確な値はググればみつかるかも)。循環小数であれば無限のビット数が必要ですが、そんな 0.1 を有限のビット数で表わした上で計算せざるを得ないので、浮動小数点数に誤差は避けられません。
その誤差を確認する方法があります。
私達が普通に使うCコンパイラの多くは float 型は 32bit の形式なので、たいてい次のプログラムを試せるはずです。"%.10f" として小数点以下の表示精度を上げることと、ビット表現を確認するようにしました。質問者の環境でも動作すると思います。お試しあれ。
C
1#include <stdio.h>
2#include <stdint.h> // uint32_t を使うため
3void show(float f) // %fと、ビット表現を16進数で表示する
4{
5 union {
6 float f;
7 uint32_t u; // さもなくば unsigned int
8 } d;
9 d.f = f;
10 printf("%.10f = 0x%x\n", d.f, d.u);
11}
12
13void main( void ) {
14 float num;
15 for (num = 0.0; num <= 1.0; num += 0.1)
16 printf("%f\n", num);
17
18 show(num); // 足した結果
19 show(1.0); // 正確な 1.0
20}
私の手元の実行結果は次の通り。
sh
1$ ./a.out
20.000000
30.100000
40.200000
50.300000
60.400000
70.500000
80.600000
90.700000
100.800000
110.900000
121.0000001192 = 0x3f800001
131.0000000000 = 0x3f800000
表示精度を上げると num = 1.0000001192 と、1.0 より大きな値になっていることがわかります。ビット表現を確認すると、正確な 1.0 が 0x3f800000 なのに対し、0.1 を10回足した結果は 0x3f800001 となり、一致していません。僅か1bitですが、それが 0.0000001192 程の差であることが確認できます。これは 0.1 をfloat型に変換した時点で生じた誤差が、足し算を繰り返して蓄積された結果です。