公開鍵暗号はID・パスワードの代わりになるか？

Question

SSHを使って思ったんですが、現状のID・パスワードの方式をSSHに置き換えた方が便利じゃないでしょうか？
アカウント登録の際に、ユーザが自分の公開鍵をサービス提供者に送信して登録してもらい、ログインにはSSHみたいな感じで秘密鍵を使う。
そうすれば、サービスごとにパスワードを変えるという非人間的な（覚えていられないということ）ことをしなくてもよいのでは？

普及してないということは何か問題があるのでしょうか？

Answer 1

SSHと同じような公開鍵認証をブラウザで実現しようとすると、通常のウェブアプリケーション（サーバー側スクリプトとJavaScript）では実現は難しく、ブラウザ側での対応が必要になります。しかし、ブラウザには、すでに、これと似て非なる「クライアント証明書認証」が実装されています。
SSH方式の公開鍵認証と違い、ウェブのクライアント証明書認証の場合は、クライアント証明書はサイト側で用意して配布する形になります。手軽さという点ではSSHのように「ユーザー側で作成してアップロードする」形の方が簡便ですが、クライアント証明書認証の基礎となるTLSには、SSH型にはないサーバーの認証という重要な機能があります。
すなわち、ブラウザにはTLSというサーバーの認証（必須）とクライアントの認証（任意）がセットになった仕組みが標準で導入されているので、似て非なる仕組みを新たに導入する動機に乏しいということになるのだと思います。

Answer 2

ソフトウェア関連のプロジェクトやらユーザー会やらだとそうしているところもあります。
一般のサービスで「SSHの公開鍵を送ってください」で通じるほどSSHは簡単ではないし、（鶏と卵ですが）誰でも使うものになっていないというところでしょう。
あと、パスワード、パスフレーズという方法はユーザー教育のコストがかなり小さな方法だということもあると思います。

SSH以外のIDとパスワードのペアでない（あるいは追加の）認証方法だと、重要な情報を扱っているところでは、ワンタイムパスワード生成機を配っていたところ（銀行とか）や、ブラウザにクライアント証明書をインストールして認証する（限られたユーザー向けのwebサービス）なんて例もあります。パスワードよりもコストは増えます。

Comments

[退会済みユーザー]

これ、Web の世界の話ですか？それ以外の話ですか？

[cugel]

ssh についてはそれ以外の話です。ockeghemさんの回答が適切ですね。すみません。
その後に補足した話は web の例です。

[退会済みユーザー]

横からの質問にコメント頂きありがとうございます。
理解できました！

Answer 3

普及してないということは何か問題があるのでしょうか？

それだけの仕組みを扱えるユーザーしかログインできなくなる、という大きな問題があります。

ただ、最近はブラウザにWebAuthnが実装されてきていますので、対応ブラウザが普及すればそれを活用するのもいいのではないかと思います。

Answer 4

公開鍵暗号もそれだけでは安全とは言い切れません。大雑把に説明します。

たとえば、中間者に鍵をすり替えられた場合、セキュリティは保たれません。このため、公開鍵暗号は認証を前提としています。

一方で、認証のためにも公開鍵暗号方式が利用されています。つまり、このあたりは卵と鶏のような関係があり、単独では成立しません。この一連のシステムをPKIと言います。

PKIを成立させるためには絶対に信頼できる外部条件が必要となります。全ての通信のために必ずこれを用意することは現実的ではありません。通常のパスワード運用の方が簡単な場合が多いです。