なぜstd::stringにはconst char*への暗黙の変換が定義されていないのでしょう？

Question

C++標準ライブラリのstd::string, std::wstringからconst char*, const wchar_t* を取ろうとしたら c_str() を明示的に呼ばないといけません。
それはもちろん operator const char*() が定義されていないからなのですが、C++11,C++14といつまで経っても追加されないのが不思議に思います。

ユーザーコード内に頻繁に.c_str()を書かないといけないのはビジネスロジックより低レベルでノイズなため、排除できたらいいと思いません？

MFCのCStringやAndroidのString8はこの暗黙の変換を持っていることですし一見問題なさそうに思うのですが、あると何かまずいのでしょうか？

Answer 1

未解決、ということは、引用されている記事の内容に納得されていない、ということでしょうか?
stackoverflowの内容を要約すると、
(1) 暗黙にキャストが行われることで検出が困難なバグが発生することがある。
(Karel Petranek氏、CashCow氏が同意見、Matthieu M.氏が例示)
(2) 内部構造にヌル終端文字列が使われているとは限らず、暗黙な変換によるコストが高いことがある。
(edA-qa mort-ora-y氏)

実は以前、私も同じ疑問を覚え、師に聞いたのですが、そのときの説明は(1)でした。

std::string text = "C++";
printf("%s", text);

このコードはどのように動作するか、という例だったと思います。
(結論からいうと、予測不可能で、最悪、コンピュータが壊れます。)
可変長引数をとるので、第2引数以降にどのような型を指定しても、暗黙の型変換は起きません。

「printfに渡すときだけ、c_str()を呼び出せばいい。」ある意味では正しいです。
ですが、同じNative-Cなライブラリを使うときであっても、
ある時は書かなくてもいいが、別のときは書かないといけない、
というのは、間違いを起こしやすい仕様です。
そのため、規格立案者は8文字の省略よりも、すべての場合で明示的な変換を必要とする
設計を採用したのだと思います。

Comments

[yuba]

printfうんぬんというのは確かに読んだ気がしたのですが、なんか皮肉っぽい書き方してるなーくらいで読み飛ばしていました。
なるほど確かにprintfの可変長引数部分では勝手にキャストしてくれるわけありませんでしたね。

Answer 2

stackoverflowい同じ話題がありましたが、個人的には「内部構造が違うと自動変換が高コストになる」というところに納得できました。

MFCやAndroidだと内部構造も決まっていて、コスト高になる心配がないから採用できているのでしょう。

Comments

[yuba]

なるほど…
しかしC++11で内部構造も規定（連続した配列として確保すること）されたので、採用のしどきだったのでは？ という風にもなってきます。